記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓が弱っているときのサインとして最もわかりやすいのが、尿の色や形状の変化です。今回は、血尿に加えたんぱく尿が見られた場合や、その他の要注意な症状などをお伝えしていきます。
尿の色は、腎臓のバロメーターといっても過言ではありません。そのため、腎臓の働きが弱くなると、尿の色や見た目が普通とは異なっていきます。その代表例とされるのが、血尿とたんぱく尿です。
血尿とは尿に血が混じった状態であり、血液中の赤血球の成分が尿中に漏れ出してしまった状態のことをいいます。腎臓のろ過機能の障害など、尿を作る腎臓や尿の通り道である尿路に障害が起こっている場合に見られる尿です。
目で見ても色がついてるのかも分からず、検査をした際に発覚する顕微鏡的血尿もありますが、おしっこが鮮やかな赤い色をしている、褐色であるなど、尿に血が混じっていることを目でみて判断できる肉眼的血尿は、さらに重要な病気のサインになります。血尿が見られた際の病気としては、急性腎炎や腎臓がん、膀胱がん、膀胱がんなどが考えられ、特に膀胱がんは約85%が肉眼的血尿を契機として発見されます。
たんぱく尿は、腎臓のろ過機能の低下によってタンパクが尿中に漏れ出してしまった状態のことをいいます。尿中にタンパクが漏れ出すと尿の色が濁った感じになったり、泡立ちが目立ったりするようになります。
タンパクは本来腎臓の糸球体でろ過されるため、たんぱく尿が見られると糸球体に障害が起こっている可能性があります。たんぱく尿が見られる代表的な疾患が慢性腎炎ですが、高熱や激しい運動の直後、重症な高血圧の場合にも見られます。
腎機能が低下すると、血尿やたんぱく尿以外にもさまざまな症状が見られるようになります。具体的にはむくみ、頻尿、だるさ、貧血、かゆみ、尿量の変化です。
むくみは、腎機能の低下によって体から水分が十分に排泄されず、体内に余分に水分がたまった結果起こるもので、通常は2~3kg以上の体重増加を伴います。むくみは左右対称に見られ、くるぶしのあたりに見られるのが特徴です。
頻尿は尿の回数が増えることをいい、1日の尿の回数が8〜10回以上、夜間2回以上トイレに起きる状態のことです。
だるさは尿毒症物質が蓄積したことにより起こるもので、慢性腎不全の末期の場合によく見られます。腎臓はエリスロポエチンという赤血球の生成を促進するホルモンが作られていますが、腎臓の機能が低下するとこのホルモンが分泌されにくくなるため赤血球が作られなくなり、それに伴って貧血が見られます。これを腎性貧血といい、ふつうの貧血と同様に動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、全身倦怠感などの症状もみられます。
かゆみは腎臓の機能低下によって老廃物が蓄積するとそれが皮膚への刺激となって見られるものです。
尿量の変化は前述した頻尿に加えて、1日の尿量が400mL以下になる乏尿、100mL以下になる無尿、尿量が増加して2500mL以上となる多尿などです。
もしも血尿などが見られた場合には、放置せずに病院で詳しい検査を受けることをおすすめします。血尿やたんぱく尿といった尿の異常だけでなく前述した症状が出現した場合には、よりなにかしらの病気が隠れている可能性があるからです。
尿に関する病気を検査する専門家である泌尿器科では、尿の検査以外にも超音波検査、CTやMRI、採血、膀胱鏡などさまざまな検査を受けることができます。また、尿検査も受診して尿をとって調べる尿検査だけでなく、1日の尿をためて調べる畜尿の検査など細かい検査を受けることもできます。
尿がいつもと違う…と感じた場合には専門の病院にて検査を受けることを強くおすすめします。
血尿やたんぱく尿は腎臓や膀胱の病気のサインともいえます。これらの症状に加えてむくみや頻尿、貧血などの症状が見られた場合には、速やかに医療機関で検査を受けましょう。また、目で見たときに血尿ではなさそうでも、検査をすることで血尿が出ているとわかる場合もあります。1年に1回程度でも良いので、定期的な尿検査を受けて自分の腎臓や膀胱の状態を知ることも必要でしょう。
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