食道狭窄になるとどんな症状が出てくる?何科で診てもらえるの?

2018/12/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食道の一部が狭くなることで、食べた物が通りにくくなってしまう食道狭窄。今回はこの食道狭窄になったときに起こる症状や、受診すべき診療科などをご紹介していきます。

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食道狭窄ってどんな症状?

食道狭窄とは食道の一部が狭くなって食物が通りにくくなり、食物などの通過障害が起こる病状のことをいいます。

食道狭窄になると、食べ物の通過障害が起こることによって、吐き気、胸焼け、嘔吐、嚥下後の胸痛などといった腹部に関する症状が出現します。また食道炎や食道がんが原因であった場合には、食べ物が通過したかどうかに関係なくみぞおちや前胸部のあたりに痛みを感じることがあります。食道部分に重度の出血がある場合には、吐血やタール便などの上部消化管出血に共通した症状が見られます。

食道狭窄になるのはどうして?

食道狭窄はその原因から、良性の食道狭窄、悪性の食道狭窄、食道がん治療後に起こる食道狭窄の3つに分類されます。

良性狭窄の場合の原因は生まれつき食道が細くなっている先天性食道狭窄、胃から胃酸が逆流することで食道が炎症を起こす逆流性食道炎による狭窄、食道にできた潰瘍による狭窄、酸・アルカリなどによる腐食性食道炎に伴って起こる瘢痕性の食道狭窄など後天的なものがあります。
他にも迷走神経の異常によって下部食道噴門部が弛緩不全を起こした状態である食道アカラシアも良性の食道狭窄に分類されます。

一方、悪性の食道狭窄は進行性の食道がんによるもので、こちらも後天性となります。食道がんは早期の場合には症状がほとんど見られないものの進行することによって食道狭窄などの症状が見られるようになります。

他にも、内視鏡を用いた手術や外科手術、抗がん剤による治療など、食道がんを切除したり小さくする治療を行った後に切除した傷跡が正常に戻る過程で食道狭窄を引き起こしたり、抗がん剤治療による炎症やがんが小さくならなかったことによっておこる食道狭窄もあります。

食道狭窄の治療は何科で診てもらえるの?

食道狭窄は、消化器内科で診察、検査、治療をしてもらうことができます。

食道狭窄の治療方法は、原因によって異なります。先天性食道狭窄の場合には、内視鏡を用いて食道の狭窄部を内側から押し広げる治療方法・食道拡張術や、食道を切ってつなぐという外科的な治療がメインで行われます。

逆流性食道炎の場合は、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬の内服やバルーンによる食道拡張術が行われ、食道アカラシアの場合には軽症例では内服薬による薬物療法、バルーンによる食道拡張術が行われます。

バルーンによる食道拡張術を行っても症状が改善しない場合には、手術で通過障害の改善と胃酸逆流防止が行われることがあります。基本的には内服薬による治療が第一選択とされ、その治療成果に応じて手術など他の治療方法が選択されます。

食道がんが原因の場合には手術が第一選択とされ、早期に発見できた場合には内視鏡的な治療、進行している場合には外科的治療が行われます。
食道がんの治療後に食道狭窄となった場合には、バルーンによる食道拡張術やステント留置などの治療が行われます。

おわりに:食道狭窄と思わしき症状が見られたら消化器内科へ相談を

食道の一部が狭くなって食物が通りにくくなり、食物などの通過障害が起こる食道狭窄。食道狭窄には先天性と後天性があり、さらに良性のものと悪性のものに分別されます。
どちらにしても、食道が狭窄することによって嚥下時の痛みや嘔気など日常生活動作に支障が出るため治療を行います。治療は内服薬による治療の他、バルーンを用いた食道拡張術などが行われます。食道狭窄は消化器内科が専門的に治療をしてくれるため、疑わしき症状がある場合には消化器内科へ相談することをおすすめします。

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