声が出ない、喉がイガイガするときに考えられる「急性咽頭炎」とは?

2018/12/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

突然の喉の痛み、イガイガ、声が出ないといった症状は、「急性咽頭炎」のサインかもしれません。原因や治し方などを紹介していきます。

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声が出なくなる病気、急性咽頭炎とは?

急性咽頭炎とは、風邪などのウイルス感染や細菌感染、声の出しすぎやたばこなどの外的な刺激が原因で発症する喉の炎症です。喉が痛くなり声がかれたり、乾いた咳や喉が乾燥したように感じたりといった症状がみられます。

喉を安静にしておくことで数日から1週間程度で自然に治ることが多いでしょう。しかし、鼻炎や副鼻腔炎など他の病気や細菌感染を合併してしまうと長引いてしまいます。ときには、発熱や倦怠感、頭痛が起こることもあります。

声を酷使する職業についている場合、声帯の状態をよく観察したうえで、声の出し方自体を指導する音声訓練が行われることもあります。

急性咽頭炎になった原因として考えられることは?

急性咽頭炎の多くは、風邪などのウイルス感染や細菌感染により引き起こされます。ウイルス感染では、アデノウイルスやコクサッキーウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルスなどが原因となります。細菌感染ではA群溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などがみられます。

喉は声を出すのに重要な役割を担う場所であるため、声を出しすぎて炎症を起こすこともあります。声をよく使う教師や政治家、歌手などが多く発症することが知られています。また、カラオケや運動会などで突発的に大きな声を出した後にも、急性咽頭炎になることがあります。

急性咽頭炎は、空気中に存在するさまざまな物質によって引き起こされることもあります。
特に、たばこや粉じんなどは喉の炎症を引き起こしやすいでしょう。

どうすれば声が出るようになる?

急性咽頭炎は数日で自然に治ることが多いですが、ウイルスが原因の場合は、喉の痛みや発熱に対して対症療法を行います。急性咽頭炎では、喉の安静を保つことが大切です。大声を出さないようにし、適切な声の大きさを心がけてください。ささやき声は声帯にとって負担となるともいわれています。

細菌感染を起こしてしまった場合には、抗生物質が使用されます。声帯の炎症を軽減するために、ステロイド剤の内服やネブライザー吸入が行われることもあります。

声を出すことの多い職業の場合には、声の出し方自体を指導する音声訓練が必要になることがあります。その場合には、音声治療を専門的に行っている施設を受診し、検査を行ってもらい自分に合った訓練を行いましょう。

たばこや粉じんは急性咽頭炎を悪化させてしまいます。喫煙者の場合は禁煙を心がけましょう。粉じんが心配な環境にある場合には、マスクの着用が効果的です。

おわりに:急性咽頭炎では喉を安静に保つことが大切

急性咽頭炎にかかってしまった場合には、喉を安静に保つことが回復の近道です。必要最低限の会話にとどめ、大きな声を出さないようにしましょう。ささやき声は喉に負担がかかるので、適切な声で話すようにしてください。また、発症したときには禁煙を心がけ、マスクをして粉じんを予防することが大切です。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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