ヒートショックを予防するなら、何をするのが効果的?

2018/12/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ヒートショックと呼ばれる健康被害について、聞いたことはありませんか?
あまり知られていませんが、ヒートショックは年間およそ17000人もの死者を出すといわれる、恐ろしい症状なのです。
今回はヒートショックについて、症状や予防のためにできる対策をご紹介していきます。

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ヒートショックってどんな症状?

急激な気温の変化に体がついていけず、血圧や脈拍などが大幅に上下することにより、心臓や血管に過度な負担がかかる健康被害をヒートショックといいます。
外気温に6~10℃以上の急激な変化があると発症するとされ、失神のほか、脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる疾患の引き金になるのです。

なおヒートショックは家の中、部屋から部屋へ移動するときに起こりやすく、特に部屋から浴室・トイレとの移動の際に起きやすく、浴室と部屋との移動や入浴中にヒートショックを起こし、脳梗塞・心筋梗塞・失神を起こして死亡する人は、年間17000人にも及ぶと報告されています。

ヒートショックは、厳寒期で室内での温度差が大きくなる12~2月には誰にでも起こり得る症状ですが、以下のような人は特に発症しやすいので注意しましょう。

  • 加齢により血管や心臓が弱くなっている高齢者
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病を持っている人

ヒートショックを予防するために何ができる?

入浴中、または浴室と部屋との移動中のヒートショックを予防するためには、入浴前後の習慣を少しずつ見直すのが大切です。
以下を参考に入浴前後の習慣を見直し、ヒートショックの予防に努めてください。

ヒートショック予防に有効な対策

  • 部屋間の温度差を少なくするため、脱衣場に暖房器具を設置するようにする
  • 風呂場と脱衣所の温度差を少なくするため、シャワーで浴槽にお湯を張る
  • 風呂場と脱衣所の温度差を少なくするため、浴室が温まった二番目以降に入る
  • 比較的気温の高い日没前、夕食前のタイミングで入浴を済ませるようにする
  • 血圧や血糖値が高くなる食後1時間以内、または飲酒後の入浴を控える
  • 血液がドロドロになって詰まりやすくなるのを避けるため、入浴前後は水分補給する
  • お湯の温度は41℃程度にして、手足から徐々に温めて体温と血圧を上げていく
  • 心臓への負担が大きい浴槽への入浴は、短い時間にとどめる
  • 血圧低下と失神防止のため、あがるときは浴槽のふちを持ってゆっくり立ち上がる
  • できるだけ1人入浴を避けて、身近な人に浴室や脱衣所で見ていてもらうようにする

おわりに:ヒートショックの予防には、室内気温の調整と入浴習慣の見直しが効果的

室内気温の6~10℃の急激な変化から、血管や心臓に過度な負担がかかり、血圧・脈拍の乱れから脳梗塞・心筋梗塞・失神など命にかかわる症状を起こすヒートショック。厳寒期には毎年17000人もの人が亡くなる原因となるこの症状は、高齢者や生活習慣病を患う人にとって特に恐ろしい健康被害です。予防するには室内の気温差をなくす他にも、血圧が急激上下しないよう入浴前後の習慣を改めましょう。

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ヒートショック(7) ヒートショック予防(2)