心臓って、毎日どんな働きをしているの?悪くなると出てくる症状は?

2018/12/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

私たちが寝ている間も、生きている限り休みなく動き続けている心臓。
全身に血液に載せて栄養や酸素を送り届け、私たちの生命を維持してくれている心臓は、どのような仕組みで働いているのでしょうか。
今回は心臓の働きについて、病気になったときに現れる症状とあわせて解説します。

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心臓ってどんな仕組みの臓器なの?

心臓は、4つの部屋と血流をコントロールする弁から構成され、大きさは握りこぶしより少し大きいくらい、ほとんどが筋肉でできている臓器です。基本的に、左側の肋骨の裏側に位置しています。

4つの部屋のうち、上部にある2つは心房(しんぼう)、下側2つは心室(しんしつ)と呼ばれ、それぞれ以下の働きを担っています。

心房
心臓の外から、運ばれてきた血液が入ってくる
心室
心臓の外へと、血液を送り出す

血液を全身に送り出すという役割から、全体的に心房よりも心室の方が大きく、さらに右心室より左心室の方が大きく、高い圧力で血液を送り出せるようになっています。

心臓はどんなふうに働いているの?

心臓は、心房と心室が0.12~0.20秒の時間差をおいて収縮することで、全体を収縮させて血液を全身に送り出しています。心臓が動く仕組みは以下の通りです。

  1. 血液を受け取った心房が、心室側へ血液を送りこむ
  2. 心室に十分に血液が溜まるのを待ってから、圧力をかけて血液を送り出す

心房が心室に血液を送り、心室に血液が充満するまで待つ時間が、心房と心室の収縮の時間差となってあらわれています。このように、心房と心室が良いタイミングでお互いに協調して収縮することで、はじめて心臓が動き、全身に血液を送る役目を果たすことができます。

また、心房・心室の収縮は、心臓の「刺激伝導系(しげきでんどうけい)」という細胞によって行われています。

心臓には、ポンプとして働く心筋細胞、心筋細胞を興奮・収縮させる刺激を伝えるための刺激伝導系細胞と、その他の組織を構成する3種類の細胞があります。心臓を収縮させる心筋細胞は、心筋を興奮させるための刺激が刺激伝導系の細胞から伝わることで、収縮運動できるシステムになっているのです。

心臓の働きが悪くなると、どんな症状が出てくる?

心臓の働きが悪くなってくると、以下のような症状が現れます。

  • 重圧感、違和感、喉や胸の締め付け感
  • 胸のほか、首や喉、奥歯、左肩、左腕とその付け根、みぞおちの痛み
  • 冷や汗や吐き気
  • 脈が飛ぶような感じや、一時的に脈が早まるような感じ
  • 脈が一時的に急に弱くなり、めまいや意識消失が起こる
  • ちょっと動くだけで動悸や息切れがしたり、全身がむくむようになる
  • 慢性的な疲労感、倦怠感

このような症状が安静時や運動時など、特定の条件のときに繰り返し現れるようなら、心臓に何らかの疾患がある可能性があります。すぐに内科や循環器科のある病院に行って、医師による診察と検査を受けましょう。

おわりに:心臓は全身に血液を送る働きをしている!悪くなると胸だけでなく、全身的に痛みや違和感が出ることも

心臓は主に上部にある2つの心房と下部にある2つの心室、そして4つの弁から構成される臓器で、定期的に収縮して全身に血液を送る役割を担っています。血液を受け入れる心房と、送り出す心室では収縮するタイミングに多少の時間差があり、この時間差によって効率的に血液を送り出しています。

また、心臓の収縮は刺激伝導系が組織の興奮を心房・心室に伝えることによって起こっています。悪くなったときに起こる体調の変化とあわせて理解しておきましょう。

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