記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
気管支炎になると、咳や痰が続くといったつらい症状に悩まされます。こんな症状が出たとき、市販薬で治すことはできるのでしょうか。この記事では、気管支炎の治療に有効な市販薬や、薬の服用以外に気をつけるとよいことを紹介します。
気管支炎はウイルスを原因として発症することが多いため、インフルエンザを除いては通常気管支炎そのものに対する特異的な治療薬はありません。そのため、治療は対症療法が治療のメインで行われます。
対症療法では、安静にしたうえで水分補給や栄養の補給などを行い、脱水に陥らないようにし、菌に対する抵抗力をつけていきます。もし、発熱などによって経口からの水分摂取が難しい場合、点滴などを用いて水分を補給します。
また、咳止めや去痰薬などを症状に合わせて使用します。稀に細菌が原因で気管支炎になることがあり、その際は場合によっては抗生物質を使用することがあります。
気管支炎が辛くて病院に行けない場合は、市販薬を使用することも可能です。ただ、前述したとおり、気管支炎そのものを治す薬はありませんし、原因菌を退治するための抗生物質は市販薬で手に入れることはできません。
しかし、対症療法として、咳や痰が辛いときなどに症状を緩和させる市販薬は入手できます。
咳を止める薬ではジヒドロコデインリン酸塩(中枢神経に作用して強力な咳止め作用を発揮する)やデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を引き起こす中枢神経の興奮をおさえて咳をしずめる)があります。
また、漢方には麦門冬湯(気道や粘膜を潤して咳を鎮める働きをする)があります。
痰を出しやすくする市販薬の成分として、L-カルボシステイン(痰をサラサラにして体外に出しやすくする)、アンブロキソール(気管支の表面を滑らかにして痰を排出させやすくする)、ブロムヘキシン塩酸塩(痰をサラサラにして体外に出しやすくする)があります。このほか、気管支を広げて呼吸を楽にするdl-メチルエフェドリン塩酸塩も市販薬で使用される成分です。
また、漢方薬として、清肺湯(気道粘液の分泌を促進して気道を潤し、気管支にある線毛の動きを活発にすることで痰や異物を体外に出しやすくする)があります。
ただし、市販薬では成分が抑えられていますし、素人では症状に合った成分を正しく内服できているかどうかを判断できません。また、薬ですので副作用の心配があったり、持病や普段飲んでいる薬がある方には、飲み合わせによっては内服してはならない薬もあります。そのため、市販薬の使用は夜間や休日などに症状がひどくなった場合などにとどめ、基本的には病院で診察を受け、症状に合う薬を処方してもらうようにしましょう。
気管支炎は薬を服用するだけでなく日常生活を見直すことも治療の一環となります。湿度を十分に保った暖かい部屋で安静にし、水分や栄養をしっかりと摂るようにしましょう。また、タバコは気管支炎の原因になるだけでなく、気管支炎を悪化させる要因にもなりかねないため、気管支炎を発症している間だけでも禁煙すると治りが早くなるでしょう。
気管支炎は咳や痰など辛い症状を薬剤で緩和させつつ、湿度や温度を保った部屋で安静にし、水分や栄養をしっかりと摂って治療をします。症状を緩和させるための薬剤は市販薬でも販売しています。ただし、副作用の心配があったり、薬によっては基礎疾患あるいは普段飲んでいる薬のとの相性が合わないということもあります。市販薬の使用は一時的にとどめ、病院で治療を受けるよう心がけましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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