記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血管内でできた血の塊を「血栓」といいますが、この血栓が引き起こす病気は「血栓症」と呼ばれています。今回はこの血栓症とはどんな病気か、症状や原因、予防法といった全般的な情報をお届けしていきます。
血栓症とは、血の塊である血栓が血管に詰まってしまう病気です。どこの血管に血栓が詰まるかで現れる症状は異なりますが、脳の動脈に詰まると脳梗塞、心臓の動脈に詰まれば心筋梗塞を引き起こすなど、命に関わるリスクがあります。
なお、一般的にいう血栓症とは、「深部静脈血栓症」を意味する場合が多いです。深部静脈血栓症とは、足の静脈に血栓ができてしまう病気です。この足でできた血栓が血管を移動して肺の動脈をふさぐと、「肺塞栓症」という病気を引き起こすようになります。これらの現象は、世間的には「エコノミークラス症候群」として知られています。
どこの血管に血栓が詰まったかによって、血栓症の症状は異なります。
深部静脈血栓症を引き起こした場合は、片足が腫れあがり、痛みや熱感を伴うようになります(両足に起こる場合も、まれにあります)。そして肺塞栓症に移行した場合は、突然の胸の痛みや呼吸困難などが起こるようになり、重度の場合は命を落とす恐れがあります。
また、脳梗塞を起こした場合は手足のしびれやしゃべりにくさ、心筋梗塞を起こした場合は胸の痛みや息苦しさなど、肺塞栓症に似た症状が現れるようになります。
血栓症は、血管壁にできた血栓が大きくなって血管をふさいだり、血管壁がはがれ落ちて細い血管に詰まったりしたことで起こります。糖尿病や脂質異常症の患者さんなど血管が傷ついている人や、長時間同じ姿勢で座り続けていた人などは、血栓症を発症する可能性があります。
食生活を見直したり、運動習慣をつけたりして血流・血管の状態を改善したり、足の静脈に血栓ができないようにしたり、長時間同じ姿勢で座り続けるのは避け、ときどき足を動かすといった予防法が有効になります。ほかには、血栓をできにくくする薬を服用する場合もあります。
血栓症の症状は、どこの血管に血栓が詰まったか、どんな病気を引き起こしたかによって異なります。ただ、脳や心臓、肺などの血管に詰まると、命に関わる可能性もあるので、血栓のできやすい状態の人はできる対策をしっかり行ってください。
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