心筋梗塞のあとにみられる後遺症ってどんなものがあるの?

2019/1/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

突然激しい胸の痛みに襲われ、呼吸困難に陥ることもある「心筋梗塞」。この心筋梗塞は発症時はもちろん、その後の後遺症にも注意が必要ということをご存知でしょうか。以降で解説していきます。

心筋梗塞の代表的な後遺症って?

心筋梗塞の後遺症は左室破裂、心室中隔穿孔、僧帽弁閉鎖不全(乳頭筋不全)、左心室瘤、虚血性心筋症などさまざまなものがありますが、代表的な後遺症は心不全と不整脈です。

心筋梗塞により心臓の細胞が壊死してしまうとその部分は心臓としての機能が無くなり、ポンプ機能が衰えます。そうすると全身の臓器に十分な栄養を送ることができなくなります。

症状は息切れが代表的なもので、今まで問題なく昇れていた階段を途中で休まないと昇れないなど日常生活に支障が出てきます。さらに進行すると食事をするだけで疲れるため食欲がなくなる、夜間に急に呼吸困難になり急性心不全を起こす可能性もあります。

不整脈は室性期外収縮というタイプの不整脈を起こす可能性が最も高く、心室頻拍や心室細動といった致死性の不整脈に移行する危険性もあります。また心筋梗塞後に2~3日の不整脈の出現率は90%以上に及ぶとされています。

その他にも心原性ショックと心不全を合わせた病態であるポンプ失調や壊死した心筋はもろくなることで起こる心破裂、乳頭筋機能不全症候群や心室瘤といった合併症も起こる可能性があります。

心不全や不整脈を予防するには?

心筋梗塞後の合併症である心不全や不整脈を予防するためにはリハビリテーションを行うことが非常に重要です。心筋梗塞後の合併症を予防するためのリハビリを心臓リハビリテーションといいます。

心臓リハビリテーションは心筋梗塞後の状態によって区分されています。まず急性心筋梗塞の発病や手術日から1~2週間は第1期、または「急性期リハビリ」と呼ばれています。この時期は洗面、排便、シャワー浴、廊下歩行など身の回りの動作が完全にできるようになることを目標として、段階的にリハビリの負荷量(活動量)を増やしていきます。

発病から2~3か月間は第2期、もしくは「回復期リハビリ」と呼ばれています。この時期は、退院して社会、または職場に復帰することを目標としており、運動負荷試験などの機能評価検査、積極的な運動療法、カウンセリングが行われます。

社会復帰後は第3期として、回復期に引き続き生涯にわたる「維持期リハビリ」が必要となります。維持期リハビリは、在宅あるいは地域の運動施設などで、運動療法を行い生涯に渡る快適な生活の維持を目標としています。

後遺症を防ぐために、日常生活で気をつけることは?

心筋梗塞後の後遺症を予防するためには日常生活において血管を労わる生活を送ることが必要です。
血管を労わる生活は大きく分けて食事面と運動面に分けられます。

食事面では炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン・ミネラルなど、バランスのよい食事を意識して摂るようにしましょう。ビタミンやミネラルなどは血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させる効果があるため意識的に摂るようにしましょう。逆に肉類や油脂類、乳製品に含まれる飽和脂肪酸は、動脈硬化を促進してしまうので、摂取を控えることが望ましいでしょう。

調味料も1日に塩分8g以下、糖分15g以下、油15cc以下を目安にします。アルコールは週に2~3回程度として、1日の飲酒量の目安はビール350mL、または日本酒1合、またはワイングラス1杯としておきましょう。

運動では1日1万歩の散歩や、1回30~40分の早歩きといった有酸素運動を週3回程度行うことが望ましいです。しかし、心筋梗塞後は医師から指示された運動量を目安としましょう。

ほかにも、喫煙は血管を収縮させてしまうため控えるようにし、水分をしっかりと摂るように心がけましょう。

おわりに:心筋梗塞後も油断せずに後遺症の予防を

心筋梗塞後に早期に治療をして一命をとりとめたとしても、心不全や不整脈といった後遺症のリスクはあります。心筋梗塞後の後遺症を防ぐために病院でも心臓リハビリテーションなどを行いますが、自分自身の日常生活も見直し、血管を労わった生活を心掛けるようにしましょう。

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