記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
私たちの生命を維持するために、生まれてからずっと休むことなく動き続けている心臓は、血液にのせて全身に新鮮な酸素や栄養を送る役割を担う大切な臓器です。
今回は普段意識することが少なく、意外と知らない心臓の位置について解説します。
心臓は胸の中央から少し左寄り、肋骨が胸の真ん中から左に伸び始めるあたりにあります。大きさはだいたいその人の握りこぶしひとつ分くらい、成人であれば300~350gくらいで、肋骨や胸の筋肉に守られる場所に配置されています。
心臓はこの場所で、毎分約60回も規則正しく収縮して脈を刻み、1日におよそ8トンもの血液を全身に巡回させて、私たちの生命化活動を維持してくれています。
実際は胸の中央に近い位置にあるのに、一般的に心臓が「胸の左側にある」と認識されているのは、心臓が脈打つ音が胸の左側から聞こえるからです。体の外側から耳を傾けたときに、胸の中央からではなく胸の左側から心臓の鼓動を感じるのは、心臓の左側の方が右側より血液を押し出す圧が高いことが関係しています。
心臓は縦に左右2つの部屋に完全に仕切られており、かつ、それぞれが弁で仕切られた上下2つの部屋になっています。合計4つの部屋があるイメージです。
縦に完全に仕切られている部屋のうち、向かって右側の上部を「右心房」下部を「右心室」、同様に向かって左側の空間を上から順に「左心房」「左心室」といいます。
向かって右側の右心房・右心室は肺の方へ、左側の左心房・左心室は全身の方へ、それぞれ別ルートで体に血液を送りだしています。このとき、血液を肺に送り出すよりも体に送り出す方が高い圧力を必要とするため、生きているうちに自然と心臓の左側の筋肉が強く・厚くなっていきます。
この結果、心臓の鼓動が主に胸の左側から聞こえるようになり、心臓は胸の左側にあるものという認識が一般に広がっていったと考えられます。
一般的には心臓は左胸にあると認識されていますが、実際には左胸というよりは胸の中央に近い場所、真ん中よりも少し左寄りの位置にあります。心臓が左胸にあると思われているのは、心臓から体に血液を送るための筋肉が心臓の向かって左側の方が強く大きいため、外から聞いたときの鼓動が左胸から聞こえるように感じるからです。私たちが生きるうえで欠かせない臓器ですので、その位置を正しく理解しておきましょう。
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