心筋梗塞の痛みってどのあたりに出てくるの?再発は防げる?

2019/2/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寒い季節に気をつけたい病気はいくつかありますが、特に「心筋梗塞」には要注意です。心臓の血管がつまる心筋梗塞は発症すると命に関わります。
この記事では、心筋梗塞が疑われる痛みの種類やメカニズム、予防のためにできることを紹介します。

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心筋梗塞になると、どのあたりに痛みを感じるの?

心筋梗塞を発症した場合、胸の痛みを訴える人は多いです。ところが心臓の疾患を原因とする痛みは、胸のあたりにのみ起こるわけではありません。

痛みが発生する場所
以下で挙げるような痛みを感じたら、心筋梗塞など心疾患の疑いが考えられます。

  • 胸の中央部または左胸部(心臓のあるあたり)
  • 奥歯
  • 首、のど
  • 左肩
  • 左腕、左腕前
  • みぞおち
痛みに伴う症状
胸のしめつけ感、圧迫感、不安感

以上のような痛みや症状がみられたら病院を受診し、検査を受けてください。痛みはほかの病気でもみられる症状のため、「問題ないだろう」と見逃しがちですが、放置してしまうと突然死を招きかねません。早期発見・早期治療は心筋梗塞の予後において、非常に大切です。

心筋梗塞の痛みが起こるメカニズムは?

心筋梗塞は冬になると発症のリスクが高まるともいわれています。なぜなら、急激な冷え込みによる温度変化は、血管を細く縮ませるためです。血管が伸び縮みする状態が頻繁に続くと血圧に変化が起こり、血液の流れが悪くなって「動脈硬化」を引き起こします。心臓は全身に血液を送り出す臓器ですから、血液の流れが悪くなると心臓にかかる負担が大きくなります。

心筋梗塞のリスク要因

  • 急激な冷え込み
  • 暖かい場所から寒い場所への移動
  • 高血圧
  • 動脈硬化

また、心臓を取り巻く冠動脈(血管)と心筋(筋肉)も、血液によって運ばれる酸素や栄養素を必要としています。血液の流れが滞ると、血栓が発生し冠動脈がつまることがあります。このように冠動脈がつまって血液の流れがとまる状態を心筋梗塞といいます。

血液が十分に冠動脈に行き渡らなくなった結果、心筋の機能がうしなわれる壊死が起こる場合もあり、命に関わります。

痛みの原因が心筋梗塞の可能性がある場合、どうやって調べる?

心筋梗塞の疑いがある場合、心電図検査を行います。心電図検査を行うと、心筋への血液の流れを確認できます。もし実際に心筋梗塞を発症していたら、心筋が壊死している場所を確認することも可能です。

そのほか血液検査、心エコー検査、冠動脈造影検査を行うこともあります。冠動脈造影検査は、造影剤を冠動脈に注入し、どの部位で血管がつまっているかをX線で調べます。動脈は1本だけでなく、右冠動脈、左回旋枝、左前下行枝に分かれていますので、部位の特定は非常に重要です。1本の冠動脈で動脈硬化があると、ほかの血管でも発症していることが多く、検査では念入りな確認をします。

心筋梗塞の痛みを繰り返さないために

心筋梗塞を発見し治療をしたとしても、再発リスクがなくなるわけではありません。血行不良や心臓への負担によって心筋梗塞は発症しますので、日頃の注意を怠らないようにしましょう。心筋梗塞の予防策として、特に気をつけたい「冬の過ごし方」と通年での「生活習慣のポイント」を紹介します。

冬の過ごし方

部屋の温度管理
暖房を効かせすぎると外との温度差が激しくなり、帰宅時や外出時の体への負担が大きくなります。厚着をするなど防寒対策を取り入れつつ、暖房の効かせすぎには注意しましょう。
お風呂は熱すぎず温すぎず
42度以上の湯船は、高血圧の原因になる可能性があります。冬の浴室は、脱衣所との温度差が激しくなるので気をつけてください。

生活習慣のポイント

食生活
  • 栄養バランスのいい食事
  • 高カロリーは控えめに、脂肪を溜めこまない
  • 減塩で高血圧予防
  • 動物性脂肪より植物性脂肪を摂取
運動
食べすぎたと思ったら、適度な運動を行いましょう。ウォーキングなど軽めの運動を習慣にするのがおすすめです。
嗜好
アルコールはほどほどに。過剰摂取は高脂血症のリスクになります。タバコは血行不良を招きます。禁煙を目指しましょう。

おわりに:気になる痛みを感じたら病院へ。早期発見が重要です

心筋梗塞は心臓にまつわる病気ではあるものの、痛みが発生する場所は広範囲です。命に関わる病気ですので、気になる痛みを感じたらすぐに病院を受診してください。日頃の生活習慣で予防することをおすすめしますが、特に冬場は要注意。温度変化に気を配り、工夫して寒い季節を乗り切っていきましょう。

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