記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2019/1/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪を引いたかな?と思ったときに、病院に行くか迷うこともありますよね。特に、軽い頭痛や鼻水、ちょっとした咳ぐらいしか症状が出ていない場合、病院に行くほどではないかなと判断することもあるでしょう。
では、風邪のときは、病院に行った方が早く治るのでしょうか?自分で市販薬を選ぶときのコツと併せてご紹介していきます。
風邪とは、ウイルスによる上気道感染症のことです。また、ウイルスによる感染症の中でも、インフルエンザなどのように原因となるウイルスが特定できるものではない、またはウイルスそのものに作用する薬剤が開発されていないもののうち、比較的軽症で病状がおさまるもののことを指します。ですから、風邪を引いたときは原因を解消するのではなく、症状そのものに対する対症療法が基本となります。
風邪はウイルスによる感染症のため、細菌の増殖や活動を抑える抗生物質は効きません。また、症状を緩和しながら1週間程度安静にし、栄養のあるものを食べて自宅療養していれば、自然と回復する場合がほとんどです。症状が軽ければ症状を抑える薬も飲まなくても構いませんが、症状がつらい場合は個々の症状に合わせた薬を飲みましょう。
このように、薬を飲む場合は風邪を「風邪」という一つの病気だとひとまとめにせず、各症状をそれぞれ一つずつ緩和するという考え方で服用すると良いでしょう。
風邪の中でも、症状が重い場合は自然治癒が難しいことや、全く違う深刻な疾患が隠れていることも考えられます。そこで、風邪と考えられる症状のうち、医療機関を受診する目安についてご紹介します。
これらの症状が見られる場合は、医療機関を受診するのがおすすめです。また、一般的に39℃を超える発熱がある場合は医療機関を受診するのが良いですが、38〜39℃程度で受診を迷う場合、発熱以外にも複数の症状が見られるかどうか確認しましょう。他にも複数の症状が見られるときは、医療機関を受診するのがおすすめです。症状が発熱だけであれば、熱が引くかどうか少し様子を見ても構いません。
風邪かな?と思ったときは、まず本当に風邪なのかどうか、他の疾患の可能性はないか確認してみましょう。特にインフルエンザの初期症状は風邪とよく似ているため、風邪と楽観視しすぎて病院に行くのが遅れてしまうと回復が遅くなってしまうこともあります。そこで、「急な発熱」「節々の痛み」など、以下のようなインフルエンザに特徴的な症状がないかどうかを確認しましょう。
これらのインフルエンザに特徴的な症状がなく、風邪と判断できる場合は、それぞれの症状に対応する成分が配合されている風邪薬を選びましょう。どの症状に効果があるのかは、風邪薬のパッケージに記載されている効能欄をチェックしても確認できます。効能欄はたいてい多くの症状が記載されていますが、そのうち1〜3番目に記載されている効能がメインと考えて構いません。
風邪の一般的な症状である「のどの痛み」「咳」「鼻水」「熱」「頭痛」などの軽度な症状のみが見られる場合、総合感冒薬がこれらの症状をカバーできます。しかし、総合感冒薬だけでは高熱や頭痛などが抑えきれない場合はバファリンなどの鎮痛解熱薬を併用しても良いでしょう。
市販薬は、値段も高いものから安いものまでさまざまで、つい高いほうが効くような気がしてしまいます。しかし、同じ成分・同じ作用の薬でも、製薬メーカーによって販売価格が違うこともあるのです。これは、開発にかかった費用や人件費、薬の宣伝のための広告費など、薬を販売するための全ての費用から販売価格を決めているためです。
たとえば、CMを数多く制作して流し、電車や駅・デパートなどに広告を貼ればたくさんの人がそれらの広告を目にして手にとってくれる機会が増えます。しかし、その分の広告費が薬の値段に含まれるため、同じ成分・作用の他社製の薬剤と比べ、販売価格が高くなってしまうことがあるのです。
そこで、値段よりも含まれている成分に着目し、自分の症状に合った成分が含まれている薬を選ぶことが大切です。
風邪の諸症状に効く有効成分は、主に以下のようなものがあります。
自分の症状に合わせ、適切に効果が得られる成分を選びましょう。
ある薬Aと薬Bで、入っている成分量に違いがある場合、含まれる成分量が多い方が効き目が良かったり、効果が持続する時間が長くなったりします。ただし、これはあくまでもそれぞれの薬の用法・用量を守って服用した場合に限ります。
やみくもに「成分をただたくさん摂取すれば良い」というものではなく、用法・用量を超えて摂取しすぎると十分に効果が発揮できないばかりか、思わぬ副作用が生じることもあって危険です。用法・用量を超えて自己判断で大量に薬を飲むのは避けましょう。
それでも、やはり種類が多すぎてわからなくなってしまうという人も少なくないでしょう。そうしたときのために、薬局には薬剤師や登録販売者がいることが多いです。もちろん、薬局にいる全てのスタッフが薬剤師というわけではなく、「薬剤師」と書かれているネームプレートをつけている人に限ります。
解決したい症状を薬剤師に伝えると、一種類または数種類の薬を提案してくれ、それぞれのメリット・デメリットなども教えてくれます。
また、登録販売者も同様の提案をしてくれますが、薬剤師と登録販売者の一番の違いは扱える医薬品の種類の違いです。薬剤師は薬局で扱っている全ての薬剤の説明をすることができますが、登録販売者が説明できるのは仮に間違って服用したとしてもリスクが低い「第2類医薬品」「第3類医薬品」に限ります。
「第1類医薬品」は、間違って服用した場合のリスクが高いため、「薬剤師が適切な情報を文章によって説明すること」が義務づけられています。ですから、薬剤師のいる薬局で、薬剤師から直接説明を受けないと買うことができません。
風邪を引いたときは、原因の解消ではなく症状に対する対症療法が基本となります。安静にして栄養を摂り、ゆっくり休息をとるのが大切ですが、症状を抑えるために市販薬を飲んでも構いません。病院に行っても対症療法であることは同じですので、症状が軽ければ病院を受診しなくても治る場合も多いです。
市販薬を飲む場合は、各症状に対応した薬を選びましょう。自分で選べないときは薬剤師や登録販売者に相談するようにしてください。
この記事の続きはこちら