記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
子供に長引く咳や発熱が…変だと思って病院に連れていったら「マイコプラズマ肺炎」と診断された、というケースがあります。では、子供がマイコプラズマ肺炎になってしまった場合、学校は休ませたほうがいいのでしょうか。登校の基準などをお伝えしていきます。
「マイコプラズマ肺炎」とは、肺炎マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症です。感染は一年を通じてみられますが、冬にやや増加する傾向があります。咳のしぶきを口や鼻から吸い込むなどによる「飛沫感染」、鼻やのどからの分泌物に触れることによる「接触感染」により、家庭や学校などの施設内で多く感染がみられます。
小児や若者の肺炎の原因となることが多く、約8割は14歳以下ですが、乳幼児や成人にも感染します。感染してから発症するまでの潜伏期間は2~3週間程度と長く、発症すると発熱や全身のだるさ、頭痛、筋肉痛、咳などがあらわれます。咳は少し遅れて始まることもあり、から咳からだんだん痰が絡むようになって熱が下がった後も3~4週間続くのが特徴です。
「学校保健安全法」では、マイコプラズマ肺炎は「その他の感染症」に分類されており、学校の出席停止対象とはならないものの、重大な流行が起こった場合には学校長の判断で出席停止となる病気です。
学校保健安全法における感染症は、出席停止が義務付けられている第1~3種とその他の感染症に分けられています。その他の感染症であるマイコプラズマ肺炎は、「登校の目安」に従って、症状が安定し全身状態が良くなるまで学校を休む必要があり、その場合には欠席扱いとなります。
ただし、学校全体で流行し学校長の判断で出席停止の措置がとられた場合には、欠席扱いとはなりません。なお、出席停止扱いになった場合は、医師から感染の恐れがないと認められるまでは出席できません。
まずは病院や医院で受診しましょう。検査は迅速診断キットを使えばのどから綿棒でぬぐい取るだけで簡単に行うことができ、結果も15分ほどでわかります。
治療はマイコプラズマ肺炎に効果のあるマクロライド系の抗生物質を服用して行われます。通常使用される薬が効かない耐性菌も増えてきており、耐性菌に感染した場合には他の抗生物質で治療します。
家庭では安静にして休養し、十分に水分をとるようにします。ほとんどの人、特に小児は気管支炎の軽い症状が続く程度で済みますが、一部の人や早期に治療しなかった人は肺炎となって重症化する場合もあり、そうなると入院による専門的な治療が必要となります。
咳が1カ月以上続くなどの症状があるときには、医療機関で診察を受けるようにしましょう。普段からのうがい、手洗い、咳がある場合には感染を広げないためのマスクの着用エチケットが大切です。
マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法で「その他の感染症」に分類される感染症です。小児や若者に多く比較的軽い症状で済むことが多いものの、肺炎となって重症化する場合もあります。早目に医療機関で受診して治療を行い、症状が安定し全身状態が良くなるまで学校を休む必要があります。大流行が懸念される場合には学校長により出席停止の措置がとられる場合があり、その場合には欠席扱いとはなりませんので、きちんと理解しておきましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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