心筋梗塞になったときに行われる「カテーテル治療」ってどんなもの?

2019/1/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

心筋の細胞が壊死してしまう「心筋梗塞」の状態に陥ったとき、「カテーテル治療」という治療が実施されます。みなさんも一度は耳にしたことがあるかと思いますが、果たしてこれはどんな治療法なのでしょうか。

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心筋梗塞になったらカテーテル治療が必要

「心筋梗塞」とは、心臓を取り巻く冠動脈が血栓などによりふさがり、急激な血流の減少により酸素と栄養の供給が止まって、心臓の筋肉(心筋)の細胞が壊死してしまう状態です。激しい胸痛や圧迫感、ショック症状などを起こし、できるだけ早い対処が必要となります。再び血液が流れるようにするには、検査後ただちに「再灌流療法(さいかんりゅうりょうほう)」を行う必要があります。

この治療法には、薬で血栓を溶かす方法とカテーテルという細い管を血管内に入れて内側からふさがった部分を広げる方法がありますが、緊急入院してすぐに血管を広げられるカテーテル治療、特にステント治療をすることが良い結果を生むとされています。近くにそれが可能な病院がなければ、まず近くの病院で薬による治療を受けてからカテーテル治療ができる病院へ行くのも良いとされています。

カテーテル治療の流れは?

まず行われるのはカテーテル検査です。局所麻酔を受けて検査台の上にあお向けになった患者の手の動脈、または足の付け根にある動脈から冠動脈にカテーテルを入れ、造影剤を注入して血管がふさがった場所を撮影します。

カテーテル治療を行う場合は、冠動脈の詰まった部位までガイドワイヤーを進め、風船で膨らませて詰まった部分を内側から広げ、その部分にステントという血管を補強するために使われるパイプのような網状の金属の筒を広げて留め置きます。

その後、ガイドワイヤー、カテーテルを抜き、圧迫するか特殊な器具を使用して出血を止め、再出血しないように安静にします。その後6~12ヶ月は、血液の過剰反応を避けるため、抗血小板剤を服用する必要があります。これ以外にも特殊なカテーテル治療があり、患者の状態に応じて適切な選択が行われます。

カテーテル治療のメリット・デメリットは?

メリットとして第一にあげられるのは、治療中の痛みがほとんどなく回復も早いなど、身体への負担が少ないことです。通常、治療後1~2日で退院することができ、早期の社会復帰が可能です。一方デメリットとして、ステントを入れた部分の詰まりが治るだけで全体の状態が改善されるわけではないということがあります。

つまり、治療しても動脈硬化の状態を改善しない限り、別の部位に同じことが起こる可能性があるということです。また、確率は1%未満と低いですが、動脈硬化の進んだ高齢者や血管の石灰化が激しい場合の治療は困難で、血管に穴が空いたりステントが詰まってしまうなど命に関わる合併症が起こることがあります。施術は、経験を積んだ医師のいる医療機関で受けることが望ましいでしょう。

おわりに:カテーテル治療のデメリットも把握した上で治療に臨もう

カテーテル治療とは再灌流療法のひとつで、カテーテルという細い管を血管内に入れて冠動脈の患部にステントという血管を補強する管を留め置くことで、内側からふさがった部分を広げる方法です。身体への負担が少なく早期の社会復帰が可能という利点がありますが、同時に動脈硬化の状態を改善することも大切です。
普段から食事や運動に注意して、心筋梗塞の予防に努めましょう。

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