マイコプラズマの治療薬を飲んでも効かないことがあるって本当?

2019/2/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

マイコプラズマ肺炎と診断された場合、抗生物質を投与して治療を進めていきますが、こうした治療薬が効かないケースが存在します。このようなケースの原因について、以降で解説していきます。

マイコプラズマ肺炎の代表的な治療薬は?

マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ」という病原微生物への感染が原因で起こる肺炎です。子供や若い人に発症が多く、軽い症状で済むことが多いともいわれていますが、重症化すると呼吸困難に陥ります。

通常は、感染すると2~3週間の潜伏期間があり、気管支炎を発症します。発熱、頭痛、全身のだるさなどがあり、数日遅れてからせきが始まることが多く、熱が下がったあとも数週間続きます。ひどいときには、ぜんそくのようにヒューヒューと空気が抜けるような音がすることもあるでしょう。

マイコプラズマ肺炎になると、その治療法は、通常の肺炎のときと異なります。多くの肺炎では治療の際、ペニシリン系の抗生物質を使用しますが、マイコプラズマ肺炎になったときには効きません。そのため、マクロライド系の薬であるエリスロマイシンやクラリスロマイシンなどの薬が使用されます。これらの薬を使用すれることで、一般的には2~3日で熱が下がっていきます。

薬が効かないこともあるって本当?

しかし、マイコプラズマ肺炎になったのに、マクロライド系の薬が効かないケースがまれに存在します。肺炎球菌などのほかの種類の病原微生物に感染した可能性が考えられますが、そうではない場合「耐性菌」による肺炎の可能性が考えられるでしょう。

「耐性菌」は、マクロライド系の薬に耐性があります。そのため、キノロン系やテトラサイクリン系などの第二選択薬を使用することになるのです。しかし、テトラサイクリン系の薬は、骨や歯の発育に影響をおよぼす可能性があるため、8歳未満の子供は使用することができません。
重症化した場合は入院して、テトラサイクリン系の注射薬による治療が必要なこともあります。

薬が効かなくなったのはどうして?

近年では、マクロライド系の抗生物質が効かない「耐性菌」の報告が増加しています。特に、使える薬の種類が限られている小さな子供の治療においては、問題となることが多いでしょう。自然に治ることが多い病気ではありますが、ほかの薬への変更が必要になります。

この耐性菌の増加の背景には、患者が抗生物質を使用する際、誤った使い方をしてしまっているという原因が考えられます。もらった薬をすべて服用せずに、自己判断でやめてしまったり、長く服用しすぎてしまったりするとマイコプラズマ菌を完全に取り除くことができません。中途半端な服用などによって、菌に耐性ができてしまう可能性も考えられるのです。

近年は、新しい抗生物質が開発されていません。そのため、現在の抗生物質に対する耐性をつけないよう、正しい使い方を守りましょう。

おわりに:マクロライド系の抗生物質が効かない「耐性菌」に注意

マイコプラズマ肺炎の治療には、通常マクロライド系の抗生物質が多く使われています。しかし近年では、このマクロライド系の抗生物質が効かない「耐性菌」の報告が増加しています。近年新しい抗生物質は開発されていないため、正しい服用法を守る必要があります。必ず医師の指示の守り、治療は最後まで続けていきましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

この記事に含まれるキーワード

マイコプラズマ肺炎(13) 耐性菌(10) エリスロマイシン(2) マイコプラズマの治療薬(1) クラリスロマイシン(3) マクロライド系(1)