マイコプラズマの潜伏期間ってどのくらい?どんな症状が出てくるの?

2019/1/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

特に子供のうちは感染リスクが高い「マイコプラズマ感染症」。マイコプラズマ肺炎を発症した場合は、発熱や頭痛、咳などが見られますが、このマイコプラズマはどれくらいの潜伏期間を経て発症するものなのでしょうか。

マイコプラズマの潜伏期間は長い?短い?

マイコプラズマとは、細胞に寄生する極めて小さな細菌であるマイコプラズマ・ニューモニアによって発症する感染症です。感染は幼児期、学童期、青年期が最も多く、患者の約80%がこの年代の方となり、特に7~8歳が感染のピークです。マイコプラズマ感染症は1年を通じてみられますが、晩秋から早春にかけて、特に冬の間にやや増加する傾向にあります。

マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間と比較的長いことが特徴です。また、気道粘液への病原体の排出は初発症状発現前2~8日でみられるとされていて、症状の発現時にピークとなります。そしてこのピーク時と同様の高いレベルが約1 週間続いたあと、4~6週間以上菌の排出が続きます。

潜伏期間を過ぎると、どんな症状が出てくるの?

マイコプラズマ感染症の症状は、呼吸器系の症状と呼吸器系以外の症状に分けられます。

マイコプラズマ肺炎などの呼吸器系感染症は潜伏期間を過ぎると初発症状として発熱、全身倦怠、頭痛などがみられます。は初発症状出現後3~5日から始まることが多くなり、始めは乾性の咳ですが、時間の経過に伴い咳はどんどん強くなっていき、解熱後も3~4週間ほど咳が続くことが特徴です。特に年長児や青年の方では、後期になると湿性の咳となることが多くなります。

鼻炎症状もマイコプラズマ感染症では典型的な症状ではないものの、幼児ではかなり頻繁に見られます。また他にも約25%の割合で声枯れ、耳痛、咽頭痛、消化器症状、胸痛が見られ、6~17%程の割合で皮疹が出現することもあります。一般的に症状は小児の方が軽く済むともいわれています。

呼吸器系以外の感染症には、溶血、皮膚紅潮、関節障害、胃腸障害、中枢神経障害、心機能障害などが見られます。この症状は5〜10%の限られた方にしか見られません。

マイコプラズマの診断で行う検査と治療法は?

マイコプラズマ肺炎の診断で行う検査は咽頭拭い液、喀痰検査を行い、マイコプラズマを分離することで確定診断となります。

しかし、これらは検査結果がでるまで1週間ほど時間がかかってしまうため、早期に確定診断をつける場合にはPCR 法が近年開発されました。ただ、PCR法は実施できる医療機関が少ないのが現状です。ほかにも血液検査でマイコプラズマに感染しているかどうかを調べることも可能です。

マイコプラズマ感染症の治療では抗生物質を使用します。マイコプラズマ・ニューモニアは他の細菌と異なり、細胞壁を持たないという特徴があることから、ペニシリン系、セフェム系などの細胞壁合成阻害の作用を持つ抗生物質には効果がありません。

そのため、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系の薬剤を用いて治療が行われます。一般的には、マクロライド系のエリスロマイシン、クラリスロマイシンという抗生物質が治療薬の第一選択となりますが、学童期以降ではテトラサイクリン系のミノサイクリンも使用されます

マイコプラズマの感染を防ぐことはできる?

マイコプラズマ感染症の予防方法は確立されていません。しかし、マイコプラズマ感染症の感染経路は、インフルエンザと同様であることから、流行期に積極的な手洗い、うがいを行い、マスクを着用することで予防率を上げることができます。
また、咳の症状があるなどマイコプラズマ感染症への感染が疑わしい人との濃厚接触を避けることも感染予防へとつながります。

おわりに:マイコプラズマの潜伏期間は比較的長い!日頃から感染予防を!

マイコプラズマ感染症の潜伏期間は2~3週間と長いことが特徴であり、排菌期間も長めです。そのため、流行期には特に感染を予防することが重要です。感染予防法はインフルエンザと同様手洗い、うがい、マスクの着用です。濃厚接触をすると感染する確率が高まるため、咳など疑わしい症状のある患者との濃厚接触は控えるようにし、自分にも疑わしい症状が出現した場合には早期に医療機関を受診するようにしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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