ピロリ菌の治療の流れは?治療中に具合が悪くなる可能性はある?

2019/1/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胃がんの発症リスクを上げる原因菌として知られる「ピロリ菌」。このピロリ菌が発見された場合は除菌治療が行われますが、具体的にはどんな流れで実施されるのでしょうか。治療中の副作用のリスクなど、詳しくお伝えしていきます。

ピロリ菌の検査&除菌治療の流れは?

ピロリ菌の検査をする前に、まずは除菌対象となる病気があるかどうかを確かめる必要があります。内視鏡検査や造影検査で胃潰瘍十二指腸潰瘍、胃炎などの診断を受けた場合、ピロリ菌の感染検査へと進むことになるでしょう。

ピロリ菌の検査には、内視鏡検査を使用するものと使用しないものの2種類があります。内視鏡の挿入は、体内の粘膜を傷つけるリスクなどをともなうため、内視鏡を使わない検査というだけでもメリットがあります。しかし、それぞれに検査の特徴があるため、状態に合わせて適切な検査を行う必要があるでしょう。

内視鏡を使わない検査の代表的なものは3つです。
1つめは「尿素呼気試験法」と呼ばれる方法で、診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。身体に負担を与えず簡単に行えるうえ、精度の高い診断法です。2つめは、血液や尿の中に日あっている抗体を調べる「抗体測定」という方法、3つめは便の中のピロリ菌の有無を調べる「糞便中抗原測定」があります。

一方、内視鏡を使う検査にも、代表的なものが3つあります。
1つめの「迅速ウレアーゼ試験」と呼ばれる検査は、内視鏡によって胃の組織を採取し反応液の色の変化でピロリ菌を判定します。2つめは「鏡検法」と呼ばれる診断で、胃の粘膜の組織標本に特殊な染色をし、顕微鏡で探す診断方法、3つめは採取した胃の粘膜を培養して判定する「培養法」です。

ピロリ菌の除菌治療では、3種類の薬を1週間服用します。薬の内容は、胃酸の分泌を抑制する薬2種と、抗生物質です。場合によってはこれらのほかに、胃の粘膜を保護する薬を用いることもあるでしょう。これで、約8割の人が除菌に成功するとされています。治療終了から8週間後、再度検査をし、除菌されたかどうかを確認して治療は終了です。

ピロリ菌の治療中に体調が悪くなることはある?

ピロリ菌の治療中には、副作用がともなうこともあります。抗生物質による腸管刺激作用や、腸内細菌のバランスの変化などで軟便や下痢になることがあるでしょう。ほかにも、金属のような味を感じる味覚異常や、発疹やかゆみなどのアレルギー症状もあります。
このような症状が出た場合でも、自己判断で薬をやめるようなことはせず、必ず医師に相談してください。

治療が終わったら、もう胃は大丈夫?

ピロリ菌の除菌が完了しても、もう二度と検査をしなくていいというわけではありません。長期にわたってピロリ菌に感染していると、胃がんへとつながる可能性があるとされていますが、ピロリ菌がいなくなっても、塩分の過剰摂取や老化が原因で胃がんを発症する可能性はあります。

さらに、治療に用いる抗生物質にピロリ菌が耐性をもっていることなどが原因で、完全な除菌ができないというケースも見られます。治療で陰性になったとしても、「偽陰性」という微妙な判定になることもあるのです。そのため、除菌治療が終わったとしても、半年から1年後には定期的に内視鏡検査を受け、経過を観察していくことが大切です。

おわりに:ピロリ菌の治療中、副作用があることも

ピロリ菌の検査をする前に、まずは除菌対象となる病気があるかどうかを確かめる必要があります。内視鏡検査や造影検査で胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎などの診断を受けた場合、ピロリ菌の感染検査へと進むことになるでしょう。内視鏡を用いた検査、または用いない検査でピロリ菌の有無を確認し、抗生物質などを1週間服用して除菌をしていきます。その間、下痢や味覚異常などの副作用が見られることもありますが、自己判断で薬をやめず医師に相談してください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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