ピロリ菌に感染する原因は?感染したらどんな症状が出てくるの?

2019/2/12

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胃にピロリ菌がすみついていると胃潰瘍や胃がんの原因になる、という話を聞いたことがある方は多いと思います。でも、なぜピロリ菌に感染してしまうのかや、ピロリ菌がいるかどうかを調べる方法、そして、どうやってピロリ菌を除菌できるのかはあまり知られていないかもしれません。この記事では、ピロリ菌感染の原因や検査方法などを解説します。

ピロリ菌ってどんなもの?

胃がんの原因として検査や除去治療がすすめられているピロリ菌は、正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。長さが0.5マイクロメートル、直径が2.5~4.0マイクロメートルと細長い筒状の形をしている細菌です。べん毛とよばれる毛が数本あり、胃の中を移動することができます。ヘリコバクターやヘリコプターの「ヘリコ」は螺旋(らせん)、旋回という意味を持ちます。

ピロリ菌はべん毛の動きををもとにして、螺旋(らせん)状に前後に動くことができます。そのスピードは、人間でいうと100mを5.5秒で泳ぐくらいの速さです。

ピロリ菌は、酸素がある大気中では生きていくことができず、強酸性である胃液の中で生育できる菌です。胃液内の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解することで、酸を中和することができるためです。一度感染をすると、薬で除菌するまでは生き続けることができ、胃がんの原因になります。

ピロリ菌に感染するのはどうして?

ピロリ菌に感染している人と感染していない人がいる理由については、まだ明確にはわかっていません。これまでの調査、研究によって、ピロリ菌に感染している人は、幼少期の衛生環境が今ほどは整っていなかった年代の人に多くみられています。一方で、衛生環境が整ってから生まれた世代では感染そのものが減少しています。また、現在も発展途上国ではピロリ菌感染者が多く認められており、水道や下水といった衛生環境がピロリ菌の感染に関わっていると考えられています。

現代の日本では、全く感染する可能性がないわけではありません。ピロリ菌は、人から人へ経口感染ができると考えられています。特に、4歳以下くらいの子どもでは、ピロリ菌に感染している家族から感染する可能性があります。このため、親世代や祖父母世代がピロリ菌を除菌することが、感染予防の観点から大事になります。

ピロリ菌感染後に出てくる症状は?

ピロリ菌に感染したからといって、ある程度経過するまでは目立った症状はほとんどありません。そのため、定期検診などで検査を受けて、初めて感染が判明するという人も少なくはありません。

ピロリ菌は、感染してから放置すると胃潰瘍や胃がんといった疾患を引き起こすことがわかっています。症状がないからといって放置せず、感染が判明した時点で除菌治療を開始することがすすめられます。2013年からは、保険内診療での治療が可能となり、身近なクリニックでも治療を受けられます。まずは、かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

ピロリ菌がいるかどうかはどうすればわかる?

ピロリ菌に感染しているかどうかは、ピロリ菌検査を受けることでわかります。現在行われている検査は、いくつかのものがあります。

尿素呼気試験
ピロリ菌は、胃の中の尿素を分解して自分の体を守っています。この性質を利用して、尿素を含んだ薬を飲む前と飲んだ後の息の中に、二酸化炭素が増加するかどうかを測定します。ピロリ菌が分解した尿素かどうかわかるように、印をつけた検査薬(13C-尿素)を用います。
便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査
便内に排出されたピロリ菌を測定する検査です。
血中尿中ヘリコバクター・ピロリIgG抗体検査
ピロリ菌に感染していると、免疫反応として抗体がつくられます。血液中や尿中に含まれる抗体を測定します。
内視鏡検査
いわゆる胃カメラを行い、胃の粘膜の状態から判断をします。発赤、白い粘液が付着している、ひだが厚みを帯びているといった所見がないかを確認します。
病理組織学的検査
胃カメラを行った際に胃の粘膜を採取して、顕微鏡で異常がないか確認をします。
迅速ウレアーゼ試験
胃カメラで粘膜を一部採取して検査試薬に入れます。検査試薬には、尿素とpH指示薬が入っており、粘膜にピロリ菌が含まれていると尿素が分解されて、pHが変化し色が変わるという仕組みを使います。
培養法
胃カメラで粘膜を一部採取し、その中にいるピロリ菌を培養して、ピロリ菌の性質を詳しく調べる検査です。薬剤の効果や遺伝子診断などを行うために用いられます。

おわりに:ピロリ菌の感染経路はよくわかっていない。きちんと検査して早めに除菌することが大切

ピロリ菌は、感染の初期では自覚症状があまりないものの、放置すれば慢性胃炎や胃潰瘍だけではなく、胃がんを引き起こします。症状がないうちに発見されれば、除菌の薬をしっかり服用することで除菌ができます。現在は保険診療での除菌治療が受けられるようになり、地域のクリニックでも治療が可能となっています。健診で見つかったときにはかかりつけ医に相談をしてみましょう。

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