記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喘息は子供からご高齢の方まで、幅広い年齢層にみられる病気です。そんな喘息に関して、ここでは病態、原因、対処法、予防法などを解説します。
喘息とは、炎症を起している気道(気管支)に刺激が加わることで、繰り返し発作的に気道が狭くなる病気を言います。喘息が起きると、咳、痰、喘鳴などの症状が現れます。気道(気管支)の炎症が続くと、気道が固くて狭いままになるので早めの治療が重要です。
まず気道の構造を説明すると、気道は平滑筋に囲まれ、粘膜で覆われている空気の通り道を言います。健康な方での場合は、気道の断面図はきれいな円形となっています。
一方、喘息の方の場合は、発作が起きていないときも気道に炎症が起きており、気道上皮が傷つき、刺激に対して反応しやすくなっています。また、粘膜にむくみ(浮腫)が生じたことできれいな円形ではなくなり、気道が狭くなっています。そして、そこに刺激が加わることで、平滑筋が異常な収縮(けいれん)を起こし、さらに気道が狭くなるのです。
喘息が起こると、健康な人に比べて「呼吸機能の低下」や「気道の過敏性の亢進」があります。これらを確認するための検査を行うと、以下のような変化がみられます。
このように、検査を行うことで喘息の特徴的な変化を確認することができます。そのため、喘息の有無、症状の程度、治療の効果などを調べる際に、これらの検査が用いられます。
喘息の原因は、「アレルギー性のもの」と「非アレルギー性のもの」に分類できます。それぞれの代表的な悪化因子については、以下の通りになっています。
喘息が疑われる場合は、十分に問診を行った上で、患者さんの年齢・症状・状態などに応じた検査を行います。この検査には、呼吸機能検査、呼気NO濃度測定検査、血液検査、気道過敏性試験、皮膚反応テスト、胸部レントゲン検査など、さまざまな方法があります。
万が一、喘息発作が起きてしまったら、どのように対応すればいいのでしょうか。以下に、詳しい対応方法をご紹介します。
喘息発作がみられたら、まずは症状の程度を見極めることが肝心です。喘息の発作程度には小発作、中発作、大発作、呼吸障害の4段階があります。小発作であれば喘鳴などがあらわれますが、食欲はあり、日常生活を送ったり、横になったりすることもできます。
しかし、大発作となると食欲はなく、自ら動くことができず、起座呼吸(上半身を起こした状態での呼吸)や唇のチアノーゼなどを確認できる場合もあります。このように重症度によって患者さんの容態は大きく変わるので、まずは現在の状態をしっかりと確認してください。
軽い発作が始まったり、胸の苦しさを覚えたりしたら、まずはコップ1杯~2杯の水を飲みます。そして、10回または20回の深呼吸をしましょう。深呼吸は8秒間かけて行い、最初の2秒で息を吸い込み、残り6秒でゆっくりと強く吐き出すことがポイントです。
発作が続く場合は、決められた用量・用法を守って処方薬を使用してください。お薬のタイプには内服薬、外用薬(貼り薬)、吸入薬などがあります。なお、薬で改善しないからといって、決められた量以上のお薬を使用してはいけません。もし発作が続いたり、悪化したりする場合は、早めにかかりつけ医や救急外来などを受診してください。
喘息持ちの患者さんは、日頃の生活習慣に注意することで発作を予防できる場合も多いです。そこで、喘息発作を予防するための3つのポイントをご紹介したいと思います。
喘息発作を繰り返さないためには「症状が出ていないときの管理」がとても重要です。なぜなら、症状がないときにも気道の炎症は続いており、その改善がみられないと再発する可能性が高いからです。そのため、症状がなくても医師の指示に従って治療を続けましょう。
喘息発作を予防するには、原因物質の除去も重要です。たとえば、ホコリやダニが原因であれば、お部屋の掃除をしたり、お布団を干したりすることで、喘息が起こりにくくなると考えられます。このほか、タバコが原因であれば禁煙に努めるのも良いでしょう。
喘息発作には、ストレスや睡眠不足なども関係しています。そのため、適度に体を動かしたり、十分に休息をとったりして、健康な身体作りに努めるのもオススメです。また「減感作療法」というアレルギー体質を改善するための治療もあるので、気になる方は医師に相談するといいかと思います。
喘息発作ではしっかりと治療を継続して、気管支を良い状態に保つことが重要です。また発作が起きていない段階から予防・治療を行い、再発させないことも大切となっています。なお、不明点や疑問点などがあれば、自己判断をせず、主治医に相談しましょう。
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