記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
コレステロール値が高い場合、一般的に「食生活などの生活習慣が原因」と思われがちです。しかし、食生活などに気を付けていても、コレステロール値が高い方もいらっしゃいます。本記事では「なぜコレステロール値が高いのか」、その原因について解説いたします。
コレステロール値が高くなる原因として、食生活の乱れ、運動不足といった良くない生活習慣のほかに、病気や体質(遺伝)なども考えられます。このうち、遺伝によって生じる高コレステロールを「家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)」と言います。家族性高コレステロール血症の患者さんは、ご自身の体型や年齢などに関係なく、コレステロール値が高くなります。
家族性高コレステロール血症(FH)とは、脂質の1つである「LDLコレステロール値(悪玉コレステロール値)」が遺伝的に高くなる病気です。若い頃から同年代の人と比べてコレステロール値が高く、早くから動脈硬化が進んでしまうことが特徴となっています。ほとんどの場合は無症状ですが、中には「皮膚黄色種(黄色っぽい隆起)」が現れることもあります。
健康な人の場合、ほとんどのLDLコレステロールは肝臓にある「LDL受容体」によって細胞内に取り込まれ、処理されています。そのため、血液中のLDLコレステロール値は一定に保たれています。
しかし、このLDL受容体の働きに異常があったり、数が少なかったりする場合、またはLDL受容体を分解するたんぱく質が多い場合は、LDLコレステロールを十分に処理できなくなります。そして、こういった遺伝子を受け継ぐと、LDLコレステロールが高くなってしまうのです。
家族性高コレステロール血症には、「ヘテロ接合体」と「ホモ接合体」の2種類があります。
このうちヘテロ接合体患者さんは500人に1人以上の割合でおり、ホモ接合体患者さんは100万人に1人以上の割合でいると言われています。そして、日本には現状、25万人以上の家族性高コレステロール患者さんがいると考えられています。
家族性高コレステロール血症の場合、LDLコレステロール値が200~400mg/dLになってしまいます。そのため、診断が付いた場合は、「LDLコレステロール値を100mg/dL」になるよう、薬物治療を積極的に行います。お薬には主に「スタチン系の薬剤」を使用しますが、これだけでコレステロール値の改善が見られない場合は、以下のような薬も併用します。
LDL受容体の分解を抑制するお薬
このように家族性高コレステロール血症の治療薬にはさまざまな種類があるので、患者さんの年齢や状態、治療の経過などに合わせて使用します。そして、高コレステロールによる心筋梗塞、脳卒中といった病気を予防できるように目指していきます。
家族性高コレステロール血症は遺伝性の病気ではありますが、良い生活習慣を送ることも重要になっています。悪い生活習慣が続くと、コレステロール値が高くなってしまうからです。そのため、動物性脂肪などを控えたり、適度な運動を心がけたり、禁煙に努めたりすることが大切です。お薬の治療だけでなく、生活習慣の改善にも努めましょう。
高コレステロールの原因には遺伝的要因もありますが、そういった場合でもしっかりと治療を受けることで数値の改善がみられます。そして、治療はなるべく早くに始めることが重要です。もしコレステロール値が心配でしたら、一度、かかりつけ医などに相談すると良いでしょう。
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