記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心臓に血液を送り、動かすための大きな血管が詰まることで心臓の筋肉の一部が壊死してしまう心筋梗塞は、発症すると命を落とす危険もある恐ろしい状態です。
今回はいざというときのために知っておきたい、心筋梗塞になったときに起こり得る合併症について、わかりやすく解説していきます。
心筋梗塞を発症し、心臓を動かしている筋肉の一部が突然壊死してしまうと、以下のような合併症を引き起こすことがあります。
それぞれの予防法・治療法と一緒にご紹介しています。
筋肉の一部が壊死してしまうことで心臓が正常に動作できなくなり、一定の拍動を続けて行うことができず、適切に心臓が収縮できなくなる合併症です。
どの部分の心筋が壊死するかによって症状が異なりますが、発症すると心臓の収縮が遅く、または速くなったり、脈が飛ぶなどの症状が現れてきます。
不整脈の程度や種類によっても変わりますが、心臓自体の動きが止まるほどの深刻な状態の場合は、電気ショックを与えた後にICU・CCUなどで厳重に管理して治療します。
損傷を受けている心筋の箇所から見て、血流が再開することで不整脈の改善も見込めそうな場合は、詰まった血管を再び開通させることで症状の改善を試みます。
心筋の一部が壊死・損傷したことが原因で、心臓そのものの機能が低下し、全身の健康を保てないほど心臓が機能不全状態に陥ることをいいます。
心筋の損傷・壊死が深刻な状態にならない発症直後のうちに、心臓への血液供給を再開したり、心臓への負担を減らすことで治療と発症の予防ができます。
なお、心臓の機能低下により肺への血液の流入が見られる場合は、血液量を減らすための薬剤の投与なども行い、治療していきます。
前項では心筋梗塞の発症時・発症直後に起こりやすい合併症をご紹介しましたが、ここからは、心筋梗塞の後に心破裂を引き起こす合併症について見ていきましょう。
心破裂は、心筋梗塞が原因で壊死してもろくなっている心筋に、高い血圧がかかり続けることで壊死していた心筋が破れ、破裂してしまう合併症です。
このように、心筋梗塞から時間が経ってから心破裂を引き起こす原因となる合併症を「機械的合併症」といい、大きく以下3つに分類できます。
左心室の自由壁と呼ばれる部分が破裂し、心臓を包む心膜との間に血液が溜まってしまう合併症で、急性心筋梗塞になった人のうち3~10%に起こるといわれています。
心臓内で右心室と左心室を隔てている心室中隔という部位が破裂し、血液が左心室から大動脈ではなく右心室に流れ込んでしまい、肺に血液が溜まるようになる合併症です。
重大な心不全や心破裂状態を引き起こしやすく、この合併症になると手術で治療しても30%近くが死亡するといわれています。
左心室のなかで血流をコントロールしている僧帽弁を支える乳頭筋が、心筋梗塞の発症が原因で切れてしまい、心臓内での血液の逆流を引き起こす合併症です。
早急に治療しないと命の危険を生じ、緊急手術で機能不全になった僧帽弁の代わりに人工弁に置換しても、発症者のうち30~40%が死亡するとされます。
心筋梗塞は、心臓を動かすための血管である冠動脈が詰まることで心臓への血液供給が一部ストップし、心臓筋肉の損傷・壊死を起こしてしまう状態です。このため、壊死する心筋の位置によっては心臓の機能に重大なダメージを与え、さまざまな合併症の原因ともなります。合併症の種類によっては心停止や、心臓の機能不全を招いて死に至る危険性の高いものもあるため、早急な治療が必要になります。
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