大動脈瘤ができても自覚症状がないって本当?

2019/2/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

大動脈瘤は、大動脈という欠陥に瘤(こぶ)ができた状態です。いったん大動脈瘤ができてしまうと自然に消えることはなく、また、瘤が大きくなってしまうと破裂して命に危険が及ぶ可能性があるため、一刻も早い治療が必要です。早期発見・早期治療のために、大動脈瘤ができていることに自分で気づく方法はあるのでしょうか。

大動脈瘤ってどうしてできるの?

大動脈は人体の中でもっとも太い血管で、心臓から送り出された血液を細かく枝分かれした血管を通して体のすみずみまで運んでいます。心臓から出て頭部に向かい、弓状に曲りながら脳や左右の腕に3本の枝を出し、背中側に回って下半身に向かい、途中でさまざまな重要な臓器に枝分かれしながら左右の足に分かれます。

「大動脈瘤」は、大動脈が「瘤(こぶ)」のように膨らんだ状態です。どの部位でも起こり得ますが、発生部位によって手術方法が大きく異なるため、大きく胸部(上行、弓部、下行)大動脈瘤」、横隔膜を挟んで連続した「胸腹部大動脈瘤」、「腹部大動脈瘤」に区別されています。

瘤は、大動脈の壁が弱くなっている部分がふくらんでできると考えられています。原因は完全には解明されていませんが、動脈硬化、高血圧、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、遺伝などのさまざまな要因が関係すると考えられているほか、外傷や感染・炎症などによる特殊なものもあります。

大動脈瘤ができるとあらわれる自覚症状は?

大動脈瘤ができても、ほとんどは自覚症状がないまま大きくなります。ただ、まれに胸部大動脈瘤が大きくなると周囲の組織が圧迫されて、声のかすれや誤嚥(食べた物が気管に入ってしまうこと)などがあらわれる場合があります。

胸部や背中の痛み、血痰、息苦しさ、食物の飲み込みにくさなどがあらわれたら、瘤が急速に大きくなり破裂する確率が高くなっている可能性があります。すぐに専門医に診てもらうことが必要です。また、腹部大動脈瘤では、瘤が大きくふくらんで体の外からでも目立つようになったり、腹部を触ったときにしこりに拍動を感じることがあります。腹痛や腰痛が長引いているのが、破裂のリスクが高くなっているサインです。

大動脈瘤が破裂した場合、死亡率は80~90%にのぼるといわれています。また、破裂しなかったとしても、放置すると瘤の壁にできた血塊や動脈硬化片がはがれて血管内を流れ、動脈の末端に詰まって障害を起こす可能性もあります。

大動脈瘤を早期発見するには?

大動脈瘤は、いったんできてしまうと自然に縮小するということはなく、有効な薬物療法もありません。そのため、早期発見して治療することが大切です。しかし、先にも述べたように自覚症状がほとんどないため、健康診断や他の病気の診察中に偶然発見されることがほとんどです。たとえば、腹部大動脈瘤は消化器疾患を診断するための触診や腹部エコー検査、胸部大動脈瘤は健康診断時の胸部レントゲン写真などで偶然発見されることが多いようです。

適切なタイミングで手術を受ければ、成功率のきわめて高い治療が受けられます。毎年の健康診断や他の病気の診察や検査などで大動脈瘤の疑いを指摘されたら、なるべく早く病院で精密検査を受けるようにしましょう。

おわりに:大動脈瘤の自覚症状はほとんどない。健康診断などで指摘されたら早目に精密検査を受けよう

大動脈瘤ができても、破裂直前まで自覚症状はほとんどありません。もし、大動脈瘤が破裂してしまうと、命の危険にさらされる恐ろしい病気です。この病気は健康診断や他の病気の診察中に偶然見つかることが多いです。もし、検査後に医師から指摘されたら、なるべく早く精密検査を受けましょう。

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