胃腸が弱いのを改善したい! 漢方や食事療法の効果は?

2019/1/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

私たちが生きるうえで欠かせない食事は、胃腸が健康でないと満足に行なえず、体を動かすエネルギーを十分に作り出せません。
そこで、胃腸が弱かったり、崩しやすかったりする人には漢方薬治療がおすすめです。

漢方薬とは、自然界にある植物や鉱物などの生薬を複数組み合わせて作られた薬です。なぜ胃腸の改善に漢方が効果的なのか、胃腸が弱い人の特徴や食事の注意点などについて詳しく説明していきます。

胃腸が弱いのは漢方で改善するの?

漢方による医学は東洋医学とも呼ばれ、東洋諸地域で起こり発展した医学の総称です。さまざまな生薬を複合的に合わせた薬を用い、病態やその人の体質に合わせて、同じような症状でも、その人に合った漢方薬を選んで使用します。反対に、西洋で発展してきた現代医学のことが西洋医学で、こちらは実験的・科学的な方法をとった医学です。

東洋医学には、健康状態をみる方法として「気・血・水」の考え方があり、この3つはお互いに関連し、影響を及ぼし合い、これらがスムーズに巡っている状態を健康と捉えます。また、この3つをスムーズに巡らせるために「肝」「心」「脾」「肺」「腎」といった「五臓」が働いていると考えられ、胃腸の働きは脾の健康度ではかられます。

さらに体質の強弱を「虚証」と「実証」と区別し、胃腸が弱い人のような体力がなくて疲れやすい人を虚証、体力があって疲れにくい人は実証、と考えます。

虚証の人は「気・血・水」の巡りがスムーズではなく、西洋薬の胃薬などを使用してもあまり効果のない場合があります。そこで、その人の証(体質)を見極めてその人に合った漢方薬を用いると、弱った胃腸の改善が期待できると考えられるのです。

虚証の人の特徴はコレ

そもそも虚証の人は、全体的にみて胃腸が弱い傾向があります。これは胃腸の消化吸収能力が低いと、体の中でエネルギーが作られにくく、元気の源が少ないことに繋がるからです。

実証の人は元気がよいタイプで、どちらかというと太っていて、暑がりでエネルギッシュに働くタイプですが、虚証の人はどちらかというと痩せていて、寒がりの人が多いと言えます。

以下の項目に当てはまる人は、虚証で胃腸が弱い可能性があります。

  • 普段から胃腸が弱い
  • 食欲があまりない
  • 明らかな異常はないが、胃腸の調子が悪い
  • 消化不良である
  • すぐに満腹になってしまう

胃腸が弱い人に有効な漢方は?

上記の項目に当てはまるような、普段から胃腸の調子が良くなく、食欲がわかず、すぐに満腹になってしまう人は六君子湯(りっくんしとう)が有効だと考えられます。

胃腸が弱い人は五臓の碑が弱っており、気が少なくなっている状態です。六君子湯は気を補い、巡らせる効果が期待でき、胃の痛みや胃もたれなどの不快感を改善させます。

漢方では、口から入った飲食物を気の流れによって、体の下の方まで運んでいくと考えます。このときに気の流れがうまく行なわれず、胃で止まったり逆流したりすればトラブルが起こり、胃もたれや吐き気となってあらわれます。

また、消化器では口から入った飲食物の気を、上に取り出す作業が行なわれています。取り出された飲食物の気のもとは肺に移され、そこから全身に散布されていくのですが、この上下の気の流れが胃腸の働きを正常にしていると考えるのです。このことから、六君子湯の気の流れを整える働きは胃腸が弱い人に効果的だといえます。

胃腸が弱い人の食事の注意点は?

虚証の人の特徴であげた項目のように、胃腸が弱い人は無理にたくさん食べると、かえって胃腸が疲れたり、お腹周りだけ太ったりするといった逆効果になります。食事を摂る際には食べ過ぎず、腹八分目を心がけると良いでしょう。

暑い時期には喉越しの良い冷たいものを食べてしまいがちですが、胃腸の弱い人がこのようなものを多く摂ると、胃腸の機能が落ちて夏バテに陥りやすいです。冷たい飲み物は1杯だけにして、2杯目以降は氷を抜いた飲み物や温かい飲み物にしてください

また、冷たい麺類を食べる時には、薬味にしょうがやしそ、ねぎやニラなどの体を温める効果のあるものを合わせて摂りましょう。もしくは、粘膜修復成分のビタミンUを多く含むキャベツを食べるのもおすすめです。刺激から胃を守ってくれて、荒れた胃粘膜を整える働きがあります。生で食べるのが効率的ですが、胃腸の弱い方が生で食べると胃壁を刺激してしまうので、煮て食べるのがおすすめです。ビタミンUは熱に弱い水溶性なので、加熱すると溶け出してしまいますが、スープなどの煮汁も一緒に摂れる調理方法だと、栄養の損失がなく効率的です。

おわりに:胃腸を整えてエネルギッシュな日常を

胃腸が弱いと、元気の源が満足に作り出せず、いつもどこか不調を感じます。医療機関で明らかな異常が認められなかったり、胃腸薬などの西洋医学に効果が感じられないと思ったりしたら、漢方や食事療法を行ない、体質改善を目指してみましょう。

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