記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
漢方は自然の生薬を配合したものだから体にやさしそう、というイメージがある反面、効果を実感できなかった、と思う方もいらっしゃいます。また、副作用がない、と思っている方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、漢方の効果とともに、副作用の有無について解説します。
漢方は、中国の古典に基づいて定められた生薬の組み合わせで調合される薬です。漢方医学的な観点から行われる診断に基づいて、一人ひとりの症状にあった用法・用量が処方されます。
漢方は複数の生薬を配合した薬なので、処方された薬は1種類だったとしても、幅広い症状を改善することができます。また、複数の成分を組み合わせることで、本来備わっている自然治癒力を高め、バランスを整えて症状改善を目指します。効き目は西洋の薬ほど強力ではありませんが、副作用が少ないのも特徴のひとつです。
西洋の薬は、単一の成分を抽出してから人工的に化学合成して作られています。このため、強力な薬効が期待できる半面、副作用が強く出すぎてしまうことがあります。
漢方の効果があらわれる時期は、症状の原因や程度、処方された漢方の種類によって異なります。たとえば、風邪を引いたときの症状改善にはすぐ効果があらわれますが、慢性的な冷えや便秘の解消など、生活習慣の改善も必要となる場合には、何かしらの効果を感じるまでに2カ月ぐらいかかることもあります。
もし、2カ月以上服用しているのに症状がよくなった実感がない場合、処方された漢方が合っていない可能性があります。処方してくれた医師に相談して漢方の種類を変えることもありますが、食事や生活習慣の見直しを促されることもあります。
先ほど「漢方は副作用が少ない」とお伝えしましたが、漢方には副作用がない、というわけではありません。
たとえば、甘草(カンゾウ)が配合された漢方薬を大量に服用すると、偽アルドステロン症と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。
甘草はさまざまな漢方に配合されていますし、甘味料としてコーヒーやお茶などの飲み物に使われていることもあります。甘草を含む漢方を服用するときは、食品に甘草が含まれていないかどうかも気をつけましょう。
また、まれにではありますが、小柴胡湯(しょうさいことう)の副作用として「間質性肺炎」を引き起こす可能性があることもわかっています。
間質性肺炎になると、最悪の場合呼吸困難に陥って命を失う恐れもあります。もし、上記のような症状がみられたら、主治医に相談してください。
漢方は徐々に体調を改善する効果がありますが、生活習慣が乱れていると効果を実感できないこともあります。漢方を飲めば大丈夫、と安心せず、生活習慣の見直しにも取り組みましょう。また、漢方にも副作用がありますので、気になる症状がみられたらすぐ医師に相談してください。
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