車の長時間運転、車中泊は「エコノミークラス症候群」に要注意!

2019/1/26

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

お盆や年末年始の帰省、旅行などのために、車を長時間運転する人は少なくありません。しかし、車の長時間運転や、旅行中などの車中泊をすることは、エコノミークラス症候群発症を誘発するリスクのある行為です。

今回は、車の長時間運転や車中泊によるエコノミークラス症候群のリスクについて、発症を予防するための対策とあわせて解説します。

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車でもエコノミークラス症候群になる?

長い時間同じ姿勢を維持したままでいると、心臓から離れた足の血流が悪くなり、心臓へ戻る静脈内に血栓と呼ばれる血の塊ができやすくなります。このようにして、足に血栓ができる状態を「エコノミークラス症候群」といいます。発症すると、はじめは足のむくみや腫れ、痛みなどの症状が現れますが、歩いたときなどに血栓が動いて肺動脈に詰まると、胸の痛みや意識障害から、死に至る可能性もあります。

飛行機のエコノミークラスに乗り、長時間フライトを経験した人に発症者が多いことからこの通称で知られていますが、飛行機に乗ったときのみ発症する疾患ではありません。エコノミークラス症候群は、飛行機以外の長時間の移動や車の運転時、車中泊など狭いスペースで就寝することによっても、発症しうる疾患なのです。

車でのエコノミー症候群、対策は?

ここからは、車での長時間の運転や車中泊をする際に絶対に行うべき、エコノミークラス症候群の発症予防対策をご紹介していきます。

服装は血流を阻害しない、ゆったりしたものを心がける

ベルトや下着などによる体への締め付けは、全身の血流を阻害してしまうため、エコノミークラス症候群を誘発する恐れがあります。
運転中・宿泊中にかかわらず、車に乗っている間はベルトや下着の締め付けをゆるめる、またはあらかじめ締め付けの少ない服装で乗り込むなどの対策をしてください。

利尿作用の少ない飲み物を、10~15分に1回程度意識的に飲む

車の長時間運転中には、トイレのために停車することを恐れて、水分補給が不十分になりがちです。しかし水分不足は血液をドロドロにし、血栓ができるリスクを高めてしまいます。
利尿作用の少ないスポーツドリンクやミネラル、麦茶などを中心に、10~15分おきに1~2口くらい水分を摂るようにしましょう。なお、運転中の水分補給に、コーヒーなど利尿作用の強い飲料はおすすめしません。

1時間に1回は、深呼吸と軽いストレッチを入れる

運転中、または乗車しているだけでも、1時間に1回くらいは深呼吸とストレッチで休憩しましょう。ゆっくりと深呼吸をしてから、手を組んで頭の上に持って行って上半身を伸ばし、足の指を開閉してつま先を上下させ、ふくらはぎを揉んで血流を促進してください。これだけでも、血栓ができるのを予防できます。

最低でも4~5時間に1回は停車し、車の外で起立し歩く

長時間続けての運転では、エコノミークラス症候群発症のリスクも上がりますし、集中力も切れやすくなるため事故を起こすリスクも高くなります。先を急いでいても、健康と安全のために最低でも4~5時間に1度はSAにPA立ち寄って停車し、降車して歩く、膝裏を伸ばすなどしてリフレッシュしましょう

血行を阻害するため、足は組まない

足を組むと、交差している部分の血管が圧迫されて血栓ができやすくなります。車の運転中・乗車中、そして車中泊をしているときは、足を組まないようにしてください。

車中泊では必ず座面を倒し、できるだけ体を伸ばした姿勢で寝る

車の座席に座ったまま寝る、というのは非常に不自然な姿勢です。車中泊をするときはできるだけ座面を倒し、体と足が水平に近い伸びた状態になるようにして、エコノミークラス症候群の発症を予防してください。

このとき、足の下に荷物を置くなどして足を高く上げた状態にすると、さらに血流が促進されるので効果的です。もし夜間に目が覚めたら、車外に出て少し歩くことも忘れないでくださいね。

おわりに:車の長時間運転・車中泊中はエコノミークラス症候群の発症予防対策を徹底しよう

飛行機のエコノミークラスに乗車しなくても、車の長時間運転や車中泊で同じような姿勢をとり続けていると、エコノミークラス症候群を発症することがあります。車を長時間運転するときや、車中泊を行うときにはゆったりとした服装を選び、こまめな休憩と水分補給をするなど、エコノミークラス症候群の予防対策を行う必要があります。簡単な動作だけで命を守ることができますので、ぜひ車中泊のときに取り入れてみてください。

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