記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
コレステロール値に異常がみられると、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしやすくなるといわれています。今回は、高コレステロール血症の治療法や、高脂血症、脂質異常症との違いなどをご紹介します。
血中の脂質成分には、コレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、リン脂質の4種類があります。このうち、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が140mg/dL以上と高い数値になることを「高コレステロール血症」といいます。また「高脂質症」とは悪玉コレステロールが140mg/dL以上(高コレステロール血症)または中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dL以上、もしくはそのどちらもである場合のことをいいます。そして「脂質異常症」とは、以下の3つのうち、1つでも当てはまった場合のことをいいます。
悪玉コレステロールは体に余分に蓄積することで動脈硬化を招き、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすといわれています。
一方善玉コレステロールは、体内の余分なコレステロールを減らしてくれるはたらきがあります。善玉コレステロール値が高くなれば、その分、不要なコレステロールを肝臓に戻してくれるため、脂質異常症にかかりにくくなることがわかっています。
高コレステロール血症の治療では、生活習慣の改善が基本といわれています。動物性脂肪が少ない食事や、野菜や果物、また雑穀など植物性の食品や魚介類の食事が好ましいでしょう。
また1日30分程度の運動を心掛ける、動脈硬化のリスクを高めるといわれるタバコは控える、また受動喫煙は避けるなどが挙げられます。
このような生活習慣の改善で効果がみられない場合には、主にスタチン系の薬による治療が必要といわれています。スタチンとは、血中のコレステロールを下げるはたらきがあるため、動脈硬化の予防や治療に効果があると考えられています。
スタチン系の薬には、アトルバスタチン(リピトール®)やシンバスタチン(リポバス®)などがありますが、まれに筋肉痛や筋障害などの副作用を起こす可能性があります。
1錠で効果がみられない場合には、2錠服用することもあります。またこれらの薬で改善されない場合にはコレスチミド(コレバイン®)、コレスチラミン(クエストラン®)などを併用して服用することもあります。副作用としては便秘が挙げられますが、その頻度は約10%といわれています。
グレープフルーツに含まれている成分の中には、小腸の薬物代謝に作用することで、薬の血中濃度を上げるはたらきがあるといわれています。薬の効果を必要以上にあげてしまい、頭痛やめまいなどを引き起こす可能性があります。脂質異常症の薬の中でも、リピトール®やリポバス®はグレープフルーツの影響を受けるため、服用の際には注意が必要です。
治療の基本は、生活習慣の改善といわれています。ただし症状の改善がみられない場合には薬の服用が勧められるでしょう。その場合、グレープフルーツなどと一緒に服用することは避けるようにしましょう。
この記事の続きはこちら