血栓症による足のむくみ、マッサージは実は危険!

2019/2/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

何らかの原因で血栓と呼ばれる血の塊ができ、血管を詰まらせて血流を阻害してしまう病気のことを、総称して「血栓症(けっせんしょう)」といいます。

今回は、血栓症の代表的な症状の1つである足のむくみに対する適切な対処法を、マッサージをすることの是非とあわせて解説していきます。

血栓症で足がむくんだら、マッサージはしちゃだめ!?

血管に血栓(血の塊)が詰まってしまう代表的な原因として、エコノミークラス症候群があります。

エコノミークラス症候群とは、長時間座った姿勢をキープし続けることで下肢から心臓へうまく血液が流れなくなり、下肢や下腹部、肺動脈などに血栓ができる疾患です。血栓が肺動脈にある場合は息切れや胸痛、呼吸困難などの症状が現れますが、下肢にできている場合はふくらはぎにむくみやだるさ、痛み、赤みが現れるケースが多いとされます。

しかし、エコノミークラス症候群で血栓ができたことが原因で足がむくんでいる場合には、むくみ解消のためにマッサージを行うのは危険です。これは、むくみ解消のためのマッサージが下肢の血栓を肺動脈に移動させ、エコノミークラス症候群を重症化させるリスクがあるためです。エコノミークラス症候群を発症している可能性のある人には、安易にマッサージしないよう気をつけましょう。

血栓症予防としてのマッサージ、足の運動はOK

エコノミークラス症候群を発症してからのマッサージは危険ですが、足に血栓ができることを予防する目的で、足の運動やマッサージは効果的です。

以下に血栓症、特にエコノミークラス症候群の予防に効果的な運動を3つご紹介します。

座ったままできる、足の血流を改善する運動

両足のつま先をゆっくりと数回上下させてから、左右3回ずつを目安にゆっくりと回して、足首の血流を促します。その後、片足ずつ交互に膝を曲げ伸ばしして、足全体の血流を促進しましょう。

立って行う、体重移動を使った運動

両足を肩幅に開き、両手を腰に沿えた姿勢で、右足のふくらはぎを伸ばすよう指揮しながらゆっくりと左に体重移動をし、元の状態に戻します。その後、ゆっくりと両手を頭の上まで持っていき、体全体が天井から引っ張られているイメージでかかとを持ち上げ、全身を伸ばしてもとの姿勢に戻ります。

上記を1セットとして、体重移動が左右2回ずつになるよう、計4回行います。

足踏みをして、全身の血流をよくする運動

肩幅に足を開いて立った状態から、8カウント分足踏みをして、その後また8カウントかけてゆっくりと深呼吸をし、体に酸素を行き渡らせます。

深呼吸は2回、息を吸うときに腕を頭の上に挙げて、息を吐くときにゆっくりと下ろしながら行うと、上半身のストレッチとしても効果的です。

おわりに:血栓症へのマッサージは、発症する前の予防として行うのが正解!

エコノミークラス症候群など、血栓症によって生じた足のむくみ解消のためのマッサージは、状態を悪化させるリスクがあるため危険です。血栓症改善のためにマッサージや運動を行うなら、足に血栓ができる前に、予防的に行うのが効果的です。
長時間同じ姿勢をキープし続けるときは、血栓症を予防するために1時間に1回はふくらはぎを揉んだり、この記事で消化した運動を実践するようにしてください。

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