大動脈解離を治すための手術法ってどんなものがあるの?

2019/2/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

大動脈解離とは、人間の血管の中でもっとも太い大動脈が、なんらかの原因で中膜の部分が裂けてしまうことです。心臓や血管の病気の場合、手術が必要になることが多いですが、中には手術をしなくても治療できることもあります。この記事では、大動脈解離の治療法について、手術が必要な場合と、内科的治療のみ行う場合とにわけて解説します。

大動脈解離とは

大動脈解離とは「大動脈壁が中膜のレベルで二層に剥離し,動脈走行に沿ってある長さを持ち二腔になった状態」と定義されています。大動脈解離を発症すると、大動脈から分かれる重要な動脈が圧迫されて閉塞し、重要臓器に血液が流れない状態が発生します。

大動脈解離は2種類に大別することができます。1~数個の裂口をもつものを偽腔開存型大動脈解離といい、裂口が不明で真腔と偽腔の交通がみられない場合をを偽腔閉塞型大動脈解離といいます。

大動脈解離の発症のピークは男女とも70代とされており、冬場に多く夏場に少ない傾向があります。また、活動時間帯である日中に発症することが多く、特に6~12時に多いと報告されています。逆に、深夜から早朝は少ない傾向にあります。

大動脈とは

大動脈は人間の体内で最も太い血管で、酸素や栄養を多く含んだ動脈血を心臓から全身に送り出す役割をしています。血液に接する内側から内膜、中膜、外膜の三層構造をしており、それぞれの膜でその構造が異なります。

大動脈は、分布する部位によってさまざまな役割があります。

冠動脈は心臓から出る上行大動脈の付け根から分岐していて、心臓の筋肉に血液を送る役割を担います。また、首に向かって延びる上行大動脈は、弓なりになっていることから弓部大動脈と呼ばれています。弓部大動脈は3本に枝分かれしており、頭部と両腕に血液を送ります。

そして、弓部大動脈から下肢に向かって伸びる動脈を下行大動脈といい、胸部の臓器や背骨(胸椎)などに血液を送る役割を担います。また、腹部に分布する腹部大動脈は腹部の臓器や下肢に血液を供給する役割を担います。

大動脈解離を治すには手術が必要?

大動脈解離の手術では、人工血管置換術もしくは人工血管バイパス手術が選択されます。

人工血管置換術とは、解離した大動脈の部分をポリエステル繊維などでできた人工血管で置き換える手術です。この人工血管は一般的にはダクロンというポリエステル繊維でできたものを使用しますが、感染合併例ではゴアテックス®という樹脂でできた人工血管を使用します。

手術の際は人工心肺を使用して体外循環を行い、心臓を一時的に停止させて行います。人工血管バイパス手術とは、血液の流れが一部分だけ悪い場合に行う手術です。細い人工血管を使ってその部分にバイパス血管をつなぐという方法で、体にあまり負担がかからないというメリットがあります。

解離した部分がどこかで治療法は変わる

大動脈解離の治療は解離した部分によって治療方法が変わってきます。下行大動脈のみに解離があるスタンフォードB型の場合、内科的治療が第一選択となりますが、上行大動脈に解離があるスタンフォードA型の場合は緊急手術が第一選択となります。

おわりに:大動脈解離の手術は2種類。どこを解離したかによって治療法は異なる

大動脈解離とは大動脈が裂けてしまった状態で、血液が腫瘍臓器に流れなくなることでさまざまな症状を引き起こします。大動脈解離の治療法はどの部分が解離したかによって異なることが特徴で、上行大動脈が解離したスタンフォードA型の場合は手術が必須となります。手術は人工血管と解離した血管を取り換える人工血管置換術あるいは一部分の流れが悪くなった血管を開通させる血管バイパス手術が基本となります。一方、下行大動脈が解離したスタンフォードB型の場合は内服薬のみで治療が行えることもあります。

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