冬季うつは薬で治療するの? サプリの摂取も有効?

2019/2/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

毎年、冬頃になると、気分の落ち込みや身体のだるさを覚え、春を迎えるとそういった症状なくなるとお悩みの方もいるようです。その場合、もしかしたら「冬季うつ病」という病気かもしれません。
この記事では、冬季うつ病の基本や治療などについてご紹介いたします。冬季うつ病で困っている人は、お悩みの解消のきっかけのために参考にしてください。

冬季うつの治療法は?

うつ病を簡単に説明すると、脳のエネルギーが不足することで、さまざまな心理的症状・身体的症状が現れる病気です。うつ病の原因はさまざまで、中には「季節」が関係している場合もあります。そして、特に冬場に見られるうつ病のことを「冬季うつ病」と呼んでいます。

冬季うつ病の特徴ってどんなこと?

冬季うつ病は「季節性うつ病(季節性気分障害)」の一種であり、冬場のみにうつ症状が現れる病気のことです。通常のうつ病とは異なり、秋口から症状がみられ、春頃には症状が治まるという特徴があります。この状態が2年以上続く場合に冬季うつ病と診断されます。

冬季うつ病ってどうして起きるの?

冬季うつ病の発生には、「セロトニン不足が関係している」と考えられています。セロトニンは日光を浴びることで盛んに分泌されますが、冬場になると日光を浴びる時間が短くなります。それに伴ってセロトニンの分泌が減少してしまい、うつ病を発症してしまうのです。

また、冬季うつ病には「メラトニンの異常分泌が関係している」という意見もあります。メラトニンは体内時間を調整しているホルモンですが、冬季になり日照時間が短くなると、メラトニンの分泌タイミングが崩れてしまいます。その結果、うつ病の発症へと繋がるのです。

冬季うつ病はどうやって治療するの?

冬季うつ病と診断が付いた場合、基本的には「光照射療法(高照度光療法)」が用いられます。この治療は毎日数十分~数時間、人工的な光を浴びるというものです。数週間程度この治療を続けることで、セロトニン不足などが解消し、うつ病を改善することができます。

また、冬季うつ病の原因は「日光を浴びる時間が短いこと」なので、積極的に日光を浴びることも重要です。特に、朝の時間帯に1時間程度散歩することで、冬季うつ病の予防・改善が期待できます。ただし、症状が長引く場合は、早めに精神科や心療内科などを受診しましょう。

冬季うつは薬では治療しないの?

冬季うつ病の場合、一般的に抗うつ剤などの薬はあまり処方されません。この理由は抗うつ剤の効果が出るまでに2~3カ月程度の期間を要し、その間に春を迎えて症状が改善することが多いからです。ただし、以下のような治療薬を補助的に使用する場合はあります。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
脳内のセロトニン量を増やす働きがある
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
脳内のセロトニンとノルアドレナリン量を増やす働きがある
メラトニン受容体作動薬
メラトニン受容体を刺激する働きがある

このように冬季うつ病の治療では、通常のうつ病治療で用いられるSSRIやSNRIなどが処方されるほか、十分に睡眠を取れるようにメラトニン受容体作動薬が処方される場合もあります。そして、これらの治療薬も併用しながら、ずれてしまった体内リズムを元に戻していくのです。

冬季うつにはサプリの摂取も有効?

冬季うつ病の治療では光照射療法や薬物治療などが行われますが、それ以外にも「栄養面のサポートが重要」と考えられています。中でもEPA(エイコサペンタエン酸)、不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)、ビタミンDなどは冬季うつ病の改善に役立つ可能性があり、注目が集まっています。

実際、n-3系脂肪酸については「うつ病のリスクが軽減する」との報告があり、ビタミンDについては「光照射療法よりもうつ病に効果がある」との報告があります。そのため、冬季うつ病を改善するために、これらを含む食品やサプリメントをとると良いでしょう。特にEPAやビタミンDは魚類(青魚)に多く含まれるので、意識的に摂るのがオススメです。

おわりに:冬のうつ病が心配なら早めに精神科や心療内科に相談を!

冬季うつ病は季節性の病気ですので、時間が経てば次第に症状は和らぎます。しかし、うつ症状が続くと、私生活や仕事などにも支障が出てくる恐れがあります。そのため、冬季うつ病に心当たりがあれば、早めに精神科や心療内科などを受診するようにおすすめします。

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