記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
女性のなかには、避妊や生理痛軽減・周期のコントロールなどを目的として、ピルを常用する人もいます。しかしピルの中には、血栓ができるリスクを高めるものもあるのです。
今回はピルの服用と、血管の中で血が固まって詰まってしまう血栓ができることとの関係について、死亡するリスクも含めて解説していきます。
ピルとは、女性がもともと持つ女性ホルモンの働きに作用することで、排卵を抑制し、月経周期のコントロールや生理痛の軽減、避妊効果などをもたらす薬のことです。
エストロゲンという女性ホルモンの一種を主成分とする経口避妊薬で、正しく服用することで、安全にほぼ確実な避妊効果を得ることができます。
ただし、女性ホルモンを主成分としているため、人によっては服用でホルモンバランスが大きく乱れ、副作用が出るリスクもあります。
とくにエストロゲンには血を固まりやすくする特性があるため、ピルを服用すると血管内に血の塊ができ、詰まってしまう血栓症になりやすくなるといわれています。
その発症頻度は非常に低いとはされるものの、ピル服用の副作用として血栓症を発症する女性は、10万人に15~20人の割合でいるとされています。また、ピルを飲んでいる女性は、そうでない女性に比べ実に3~4倍、血栓ができるリスクが高くなるという報告もあります。
実際にピルを服用する女性が、ピルの副作用として発症したと考えられる血栓症のために、死亡したケースも報告されています。
日本産婦人科学会の調査によると、OCとも呼ばれる低用量ピルを服用していた女性のうち、13人が肺や脳の血管に血栓ができたことが原因で死亡した(調査開始時より過去5年間の日本国内での合計)ことが確認されています。
本来、ピルの副作用として血栓症を発症しても、早い段階で適切な処置・治療を受ければ、重症化や死亡は防ぐことができます。
しかし、日本産婦人科学会の調査で発覚した13人の死者のうち、ピルによる副作用を疑って産婦人科を受診したのは2人のみで、5人は医療機関にすら行かなかったといいます。このように、体調不良の原因が血栓症であることや、ピルの副作用であることの可能性に気づかないまま、実際に命を落とした女性も存在しているのです。
ピルの副作用としての血栓症は、ピルの服用開始から3か月以内に最も起こりやすく、初期症状として以下のような異変が出てくるとされます。
ピルを服用している女性で、上記のような症状が出てきた場合は血栓症の初期症状である可能性が考えられますので、すぐに産婦人科医院など医療機関を受診してください。
喫煙は、ピルの副作用として血栓症を引き起こすリスクを、大きく高める習慣です。
日本産婦人科学会の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」によると、喫煙者と非喫煙者では、ピル服用時に死亡するリスクは以下のように異なります。
喫煙習慣がなく健康な女性がピルの副作用として血栓症を発症し、危険な状態にまで重症化するリスクは、非常に低いとされています。
一方で、喫煙習慣があり、かつピルの服用をする女性は、副作用による血栓症をはじめ、さまざまな疾患を発症するリスクが非常に高くなることがわかっています。ピルの服用を検討しているなら、副作用や喫煙習慣によるリスクは、きちんと理解しておきましょう。
経口避妊薬の一種であり、女性の排卵・妊娠・月経の周期や痛みのコントロールのために使用されるピルは、エストロゲンという女性ホルモンを主成分としています。エストロゲンには血液を固まりやすくする作用があるため、まれではありますが、副作用の一種として血栓症を発症しやすくなるのは事実です。ただし喫煙者がピルを服用する場合、副作用として血栓症を発症・重症化するリスクはとても高くなりますので注意してください。
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