腹部大動脈瘤の特徴と予防対策

2026/7/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腹部大動脈とは、体内で最も太い血管である大動脈の一部で、横隔膜から下部にあたる部位です。腹部大動脈は、胃・腸・肝臓・腎臓に向かう血管が枝分かれし、その下部で左右に分岐します。この記事では、腹部大動脈瘤の原因、症状、予防方法などについて解説していきます。

腹部大動脈瘤とは

腹部大動脈が、何らかの原因で部分的に大きく膨らむ病気を腹部大動脈瘤といいます。大動脈瘤の中でも最も発症頻度が高いといわれているのが腹部大動脈瘤であり、正常な状態の腹部大動脈は直径20mmほどですが、瘤ができると30mm以上に膨らみます。血管内部の壁の、弱くもろくなっている場所が血圧の変化などによって圧迫され、負担がかかることで膨らみが発生して瘤を形成します。腹部大動脈瘤は、横隔膜から腎臓への分岐部までの範囲に瘤が発生することが多く、以下がリスク因子になると考えられています。

腹部大動脈瘤のリスク因子

  • 加齢
  • 高血圧
  • 動脈硬化
  • 喫煙
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 感染症(梅毒、サルモネラ菌など)
  • 血管の疾患(ベーチェット病、高安動脈炎など)
  • 先天性の疾患(マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群など)
  • 外傷

上記の中でも、加齢・高血圧・動脈硬化は関係が深く、動脈硬化は特に影響が大きいと考えられています。また、腹部大動脈瘤は加齢に伴い発症率が上昇する傾向にありますが、これは年齢を重ねるにつれ動脈硬化の発症率が上昇し、血管がもろくなりやすくなることが関係していると考えられます。

腹部大動脈瘤の症状の特徴

腹部大動脈瘤は自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断やほかの病気の検査を受診した際に偶然発見されることもあります。腹部大動脈瘤が進行して瘤が大きくなり、周囲の臓器が圧迫されるようになると、以下の症状が現れることがあります。

  • 腹部や背中の圧迫感
  • お腹を触ると、患部から脈動が感じられる
  • 腹痛
  • 腰痛

なお、腹部大動脈瘤が破裂すると、痛み・急激な血圧の低下・ショック状態・吐血・血便などの深刻な症状が現れ、生命に危険が及ぶ恐れもあります。腹部大動脈瘤は、早期に治療を開始できるかどうかが、その後の経過に大きく影響します。

腹部大動脈瘤の予防対策

腹部大動脈瘤は自覚症状がないため気づきにくく、瘤が破裂すると非常に危険な状態に陥る恐れもあるため、予防がとても重要になります。加齢は避けることはできませんが、以下のように高血圧・動脈硬化を予防することで発症リスクを下げることができます。

高血圧の予防対策

  • 減塩を心がける
  • 体重を管理して肥満を防ぐ
  • 減酒・禁煙に取り組む
  • 適度な有酸素運動を習慣化する
  • 規則正しい生活リズムを心がけ、十分に睡眠をとる
  • ストレスがたまらないようにする
  • 血圧を毎日計測して記録をつける

動脈硬化の予防対策

  • 減酒・禁煙に取り組む
  • 体重を管理して肥満を防ぐ
  • 適度な有酸素運動を習慣化する
  • 脂肪分の多い食事を控える
  • EPA・DHAを含む魚食品を適量とる
  • バランスのよい食事を規則正しくとる
  • 定期的に健康診断を受け、生活習慣病を予防する

おわりに:腹部動脈瘤は自覚症状が現れにくい。定期的な検査と予防対策が大切

腹部大動脈瘤は、進行すると深刻な状態に陥る恐れもある病気ですが、症状が現れにくく自分では気づきにくいです。リスク要因である高血圧・動脈硬化の予防に努め、定期的な検査で健康状態をチェックすることが大切になってきます。健康診断や人間ドックは、かならず定期的に受け、気になる症状や健康状態の変化があるときは早めに医師に相談しましょう。

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