記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
心臓が突然バクバクと動き出したり、脈が異様に速く感じたりすると、ひょっとして心臓の病気ではないか…と不安になりますよね。この記事では、長期にわたって動悸が続いているときに考えられる原因としてどのようなものがあるかを紹介します。
動悸とは、普通のときよりも鼓動が強い、速いと感じたり、脈が飛んだり、一定ではないように感じることです。一時的なものであれば問題がないことが多いですが、長期間続くようだと不整脈や心不全などの心臓の病気や貧血や低血糖、脱水、甲状腺機能亢進症などの病気が原因になっている場合があります。中でも、不整脈が原因のことが多いです。
不整脈のうち、長期的な動悸に関係しているものとして発作性頻拍症、発作性心房細動、期外収縮などがあります。以下、順に解説していきます。
発作性頻拍症とは、運動をしたり驚いたりといった正常な心拍数増加ではなく、何もしていないのに急に心拍数が増加する症状ことです。発作性頻拍症は、生じる場所によって上室頻拍と心室頻拍に分けられます。
心房細動とは、心臓内にある心房の興奮が部分的に不規則に起こることによって、心臓本来の動きができなくなる病気で、不整脈の一種です。心房細動が起こると心臓全体の興奮も不規則になり、心房の収縮機能が失われてしまうため、心臓の正常な血液拍出機能が損なわれてしまいます。
心房細動の症状は人によってさまざまで、「どきどきする」、「胸が苦しい」、「階段や坂を上るのがきつい」、「息が切れやすい」、「疲れやすい」とたとえられる症状が多いです。また、手首や頸部の脈を計ると普段よりも速かったり、速いのと遅いのを不規則に繰り返したりします。中には無症状の人もおり、長い間心房細動に気づかないということもあります。
心房細動にはいくつかの種類がありますが、発作性心房細動の場合は症状が1週間以内に納まることが特徴です。
期外収縮とは、正常で規則正しい脈に混じって、ときどき脈拍が速くなることがある不整脈です。心臓に何も病気がなくても、多少の期外収縮が起こることがあります。
期外収縮が起こる原因として、もともとの心臓の病気(狭心症、心筋梗塞、弁膜症、心筋症など)、基礎心疾患による心臓のポンプ機能低下や形態の異常を伴う心不全などが挙げられます。
期外収縮の症状は、脈が速くなったり乱れたりするのが一般的です。他にも脈が一拍抜けるような感じや、喉がつまる・胸がおされるなどと感じることもありますが、多くの人は症状を感じずに過ごしていることが多いです。
動悸がなかなか止まらないとき、さまざまな病気が考えられます。もともと心臓に病気がなくても起こる動悸や、心臓に病気があることによって起こる動悸など、動悸が止まらない理由もさまざまです。しかし、中には将来、命にかかわる動悸の場合もあるため、放っておくと危険な場合もあります。動悸がなかなか止まらない場合は、放置せずに医療機関へ相談しましょう。