運動してないのに動悸がする…。これってもしかして更年期?

2019/2/14

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

女性が40代あたりから気になりだす「更年期」による体の不調は、発症時期や症状に個人差があります。そのため、いつから症状が始まるのか、どんな状態を更年期と指すのかわからないという人もいるでしょう。この記事では、更年期がもたらす症状のひとつ「動悸」や「息切れ」について紹介します。

動悸がするのは更年期のせい?

一般的には、走ったり階段を登ったりすると心臓の脈拍が上がり、胸がドキドキする感覚が生じます。しかし運動をしたわけではないのに動悸や息切れが起こる場合、更年期障害が疑われます。

更年期障害の疑いがある代表的な症状

  • 激しい運動をしていないのに胸がドキドキする
  • 夜の就寝前に胸がドキドキする
  • ちょっと歩くだけで息が切れる

更年期に動悸がするのはどうして?

更年期にさしかかると、動悸や息切れが起こりやすくなります。こうした更年期の症状は、女性ホルモンと自律神経から影響を受けて発生すると考えられています。

女性ホルモンは卵巣で分泌されますが、脳の視床下部が分泌をコントロールしています。年齢を重ねて更年期に入ると、卵巣の機能が衰えて女性ホルモンの分泌機能が低下または停止します。ところが、脳の視床下部は「女性ホルモンがうまく分泌されていない。もっと分泌しなければ」とホルモンを増やそうとします。するとホルモンを分泌できない卵巣と、ホルモンを分泌したい視床下部とで混乱が生じ、自律神経に悪影響を与えます。

自律神経は拍動や呼吸のコントロールに携わる神経です。自律神経の乱れは、動悸や息切れなどの症状につながるのです。

更年期による女性ホルモンと自律神経の変化

  1. 卵巣の働きが低下または停止し、女性ホルモンの分泌量が低下する
  2. 脳の視床下部は、女性ホルモンの分泌を増やす命令を出す
  3. 卵巣と脳の視床下部に混乱が生じる
  4. 脳の視床下部の混乱が、自律神経に影響を与える
  5. 自律神経の乱れが、動悸や息切れを引き起こす

動悸が気になったら医師に相談してみよう

更年期のほか、動悸や息切れは心臓や肺、呼吸器・循環器系の病気によって引き起こされるケースがあります。まだ病院を受診していないけれど、気になる症状がみられた場合は、まずは呼吸器科や循環器内科を受診して検査を受けてみましょう。
心電図や心臓の超音波検査、胸部X線検査を受けたけれど異常が見つからなかった場合、更年期に伴って症状が発生している可能性があります。

更年期による症状が認められると、ホルモン充填療法や漢方(桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散など)の処方で症状の改善を試みます。婦人科外来や更年期専門外来など専門クリニックもありますので、無理なく通院できる病院を選ぶと相談しやすいでしょう。

女性ホルモンの異常は神経面へ影響を与えることがあります。不安感など症状の強さによって神経系に作用する漢方を飲んだり、カウンセリングを取り入れて不安の緩和を試みたり、精神安定剤やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などを服薬するケースもあります。神経系の症状が強く、うつがみられる場合は、専門医の受診を検討しましょう。

動悸がしたら深呼吸するのもおすすめ

更年期による動悸や息切れなどの症状が発生したら、深呼吸で気持ちをリラックスさせるのもおすすめです。

深呼吸の方法

  1. 体の力を抜く
  2. 鼻から大きくゆっくり息を吸い、お腹に空気を入れるイメージで膨らませる
  3. 吸ったときよりゆっくりと息を吐き出し、お腹をへこませる
  4. 5~10呼吸繰り返す

知っておきたい副交感神経の働き

自律神経は、交感神経と副交感神経のふたつの神経から成り立ちますが、深く呼吸をすると副交感神経が優位になり、緊張が和らいでリラックス効果を得ます。自律神経のバランスを整える作用も期待できます。

副交感神経は夜や睡眠中など、体がリラックスしていたり休息しているときに優位になる神経です。副交感神経の働きを高めて、自律神経を整えましょう。

おわりに:安静時の動悸や息切れはまず病院に相談。体からのサインを見逃さないで

安静時に起こる動悸や息切れは、更年期による女性ホルモンの不調が原因かもしれません。しかし心臓や肺などで発生しているほかの病気が招いた可能性も考えられますので、まずは循環器内科を受診し、原因を特定してから治療や対策に取り組みましょう。
更年期による体や心の不調がみられたら日常生活に支障をきたすこともあります。家族など親しい人にも症状を理解してもらうと安心です。

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