記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/4/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アミノ酸とは、筋肉、臓器、髪、皮膚などの材料になる、「タンパク質」を構成する物質です。アミノ酸には「非必須アミノ酸」がありますが、どのような特徴があるのでしょうか。この記事では、非必須アミノ酸と必須アミノ酸の違いや、非必須アミノ酸の種類別の特徴と作用(効果)の違い、摂取にあたっての注意点について解説します。
アミノ酸は、大きく「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」の2種類に分けることができます。それぞれを一言で表現すると、必須アミノ酸は「体内で合成できないアミノ酸」、非必須アミノ酸は「体内で合成可能なアミノ酸」のことです。
ただし、この分類は、あくまで栄養学的に体内での合成の可・不可を基準にしたものです。体内で必要量を合成することが難しい「不足しやすい非必須アミノ酸」もあるため、非必須アミノ酸も食事からの摂取がすすめられます。通常、健康的な食生活を送っていればアミノ酸が不足することはありませんが、食欲が低下していたり、タンパク質やアミノ酸の含有量が少ない食事が続いたりすると、非必須アミノ酸も不足しやすくなります。
非必須アミノ酸は11種類あり、以下のように特徴、作用、多く含まれている食べものがそれぞれ違います。
L-アスパラギンは、アミノ酸のうち最も早く発見されたもので、エネルギー生産のサポートや運動持久力の向上、肝臓保護の作用があります。アスパラ、肉類、ナッツ類、大豆、玄米、レーズン、エビ、牛乳、ジャガイモなどの食品に多く含まれています。
L-アスパラギン酸は、カリウムやマグネシウムの吸収を高める作用があり、乳酸の分解を促進する作用もあります。また、疲労回復にも役立ちます。そのほか、利尿作用や肝機能の促進、老廃物の処理を促す作用も期待できます。豆類、サトウキビ、アスパラガス、ラッキョウ、まぐろ、うなぎなどの食品に多いです。
L-アラニンは、エネルギー源として利用されやすいアミノ酸です。糖質代謝や肝機能のサポート、免疫力向上において重要な働きを担う非必須アミノ酸であり、シジミ、ホタテ、イカなどに多く含まれています。
L-アルギニンは、成長において重要な働きを担うアミノ酸です。血管機能や性機能の改善・正常化、免疫力の向上、食欲抑制作用が期待できる非必須アミノ酸であり、牛肉(とくに仔牛の肉)、鶏肉、牛乳、えび、大豆、ナッツ類、ごま、レーズン、玄米、チョコレート、オートミールなどに多く含まれます。
グリシンは、最古のアミノ酸と呼ばれ、深い眠りを促す作用があるといわれています。また、皮膚の健康を保つ作用や血中コレステロール値を下げる作用なども期待でき、ホタテやえび、カニ、イカ、カジキマグロなどの魚介類に多く含まれています。
L-グルタミンは、筋肉に多く存在しているアミノ酸です。筋肉のタンパク質合成に関わり、疲労回復や筋肉強化、胃腸の粘膜の保護、免疫力向上の作用も期待できます。豚肉、レバー、肉、小麦粉、海藻、大豆、サトウキビ、魚、卵、チーズ、トマト、ほうれん草などに含まれています。
L-グルタミン酸は、うまみ成分として知られる非必須アミノ酸です。疲労回復、アルコール依存の抑制、EDの改善などの作用が期待でき、統合失調症や認知症の緩和作用もあるといわれています。海藻類、ナッツ類(大豆、落花生、アーモンドなど)、ごまなどに多く含まれています。
L-システインは、活性酸素の排除や傷の治癒を促し、シミの原因となるメラニンの生成を抑える機能があるといわれている非必須アミノ酸です。魚、大豆、赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オーツ麦、小麦胚芽などに多く含まれています。
L-セリンは、皮膚の保湿成分の原料となる非必須アミノ酸で、皮膚の保湿作用や脳細胞の活性化、記憶力の向上作用が期待できます。L-セリンを多く含む食品としては、大豆、高野豆腐、小麦粉、鰹節、いくら、牛乳などが挙げられます。
アドレナリンなどの神経伝達物質を生成する作用があり、ストレス軽減や記憶力の向上、脳の清浄活動を促す非必須アミノ酸です。チーズやたらこ、大豆、鰹節、たけのこなどに多く含まれています。
L-プロリンは、コラーゲンの生成・修復に役立つ非必須アミノ酸です。小麦粉、牛乳、大豆、ゼラチンを多く含むゼリー、マシュマロなどに含まれています。
アミノ酸をたくさん摂取した場合、余分なアミノ酸は尿素となり、尿と一緒に体外に排出されます。このとき、腎臓には負荷がかかります。アミノ酸を過剰摂取すると、腎臓への負担が蓄積し、腎機能低下などの病気を引き起こす可能性があります。アミノ酸を一度に過剰に摂取したり、短期間に過剰摂取したりすることは控えましょう。サプリメントで摂取する際は、とくに注意してください。
アミノ酸を効率よく摂取するには、以下のポイントに注意しましょう。また、特定の食品だけを摂取するのではなく、できるだけ多くの食品をバランスよく摂取し、長期間継続することが大切です。
「非必須アミノ酸」とは、体内で合成可能な11種類のアミノ酸のことです。ただし、体内での合成だけでは不足しやすいものもあるため、食事やサプリメントなどによる摂取がすすめられます。効率の良くアミノ酸を摂取するためには、ビタミン類など「アミノ酸以外の栄養」も必要です。特定の食品やサプリメントだけを摂るのではなく、バランスの良い食事を心がけ、長期間継続しましょう。