アミノ酸の種類と効果 ― 食べもの別で見るアミノ酸スコアについて

2021/12/2

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医

山本 康博 先生

アミノ酸を多く含む食べもののイメージ画像

アミノ酸は、筋トレやスポーツなどでよく使われている成分であり、運動しない人も疲労回復目的で摂取することがあります。アミノ酸にはいくつか種類がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、アミノ酸の種類と効果、アミノ酸スコアなど、アミノ酸の基礎知識について解説します。効率良くアミノ酸を摂取したい、健康維持に役立てたいという人には必見の情報です。

アミノ酸とは ― 筋肉、臓器、神経伝達物質などの材料

アミノ酸は、私たち人間の体の筋肉や臓器、ヘモグロビン、髪、皮膚のコラーゲンなどを作っている「タンパク質」を構成する物質です。成人の体は約60%が水分、約20%がタンパク質、約15%が脂肪、約5%が糖質やその他の物質でできています。私たちの体は、約20%がアミノ酸でできている、ともいえます。

アミノ酸の発見は1806年にさかのぼり、フランスでアスパラガスの芽から発見されたそのアミノ酸は「アスパラギン」と名づけられました。その後、尿結石から「システイン」、ゼラチンから「グリシン」、筋肉から「ロイシン」など、人間のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸がすべて発見されました(ヒトのタンパク質には「セレノシステイン」という特殊なタンパク質もごく一部にありますが、非常に特殊でまだ研究も進んでいません)。

また、アミノ酸は生命の起源でもあるとする考え方もあります。地球外から飛来した、原始大気から偶発的に生まれた、原始の海洋中から発生したなど、諸説ありますが、いずれの場合もアミノ酸から生命に進化していったと考えられています。化石や隕石からもアミノ酸が発見されることが、こうした説を裏付けています。

旨味成分グルタミン酸もアミノ酸の一種

化学調味料の1つであり、昆布や野菜に含まれる旨味成分としてよく知られているグルタミン酸は、1866年に発見されました。当時は小麦のタンパク質「グルテン」から発見されましたが、その後、1908年に日本で昆布の旨味成分であることが発見され、そこから有名な化学調味料が作られて日本中に普及しました。

また、グルタミン酸は、脳の働きを助ける神経伝達物質であり、GABAの材料として使われたり、アンモニアを取り込み無毒化する作用も持っています。

人間のタンパク質を構成するアミノ酸は?

人間の体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類あります。アミノ酸は、体内で合成できるかどうかによって必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸に分けられます。

必須アミノ酸(体内で合成できない)
  • イソロイシン
  • ロイシン
  • バリン
  • リジン(リシン)
  • ヒスチジン
  • メチオニン
  • フェニルアラニン
  • スレオニン(トレオニン)
  • トリプトファン
非必須アミノ酸(体内でも合成できる)
  • アスパラギン
  • アスパラギン酸
  • アラニン
  • アルギニン
  • システイン
  • グルタミン
  • グルタミン酸
  • グリシン
  • プロリン
  • セリン
  • チロシン

分岐鎖アミノ酸(BCAA)

必須アミノ酸のうち、イソロイシン、ロイシン、バリンは「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」と呼ばれることもあります。BCAAは、筋肉を構成するタンパク質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めています。筋タンパク質の分解を防ぎ、疲労を軽減する作用があるため、運動や筋トレをする人の間でよく知られているアミノ酸です。

合成後修飾アミノ酸と遊離アミノ酸

アミノ酸には、合成後修飾アミノ酸と遊離アミノ酸もあり、それぞれ以下の特徴があります。遊離アミノ酸の一種である「GABA」は、興奮をしずめてリラックス効果をもたらす「抗ストレス作用」があるとして、よく食品にも配合されています。

合成後修飾アミノ酸
  • タンパク質を合成した後、何らかの修飾を受けてできるアミノ酸
  • ゼラチンやすじ肉に多く含まれるヒドロキシプロリンがある
遊離アミノ酸
  • タンパク質にはならないが体内に存在するアミノ酸
  • スイカやニガウリに多く含まれるオルニチン、しじみやチーズに多く含まれるシトルリン、発芽玄米などに多く含まれるGABAなどがある

アミノ酸摂取の効果 ― シニアの健康維持や美容にも役立つ機能性成分

アミノ酸が不足すると、タンパク質も不足することになります。タンパク質が不足すると、筋肉量の減少、肌や髪のトラブル、集中力や思考力の低下などの体調不良の原因になります。また、アミノ酸は、研究が進むにつれ、栄養素としての役割以外に「機能性成分」としての働きが注目されるようになってきました。アミノ酸は、スポーツコンディショニングでよく使われていますが、シニアの健康維持や美容目的にも使われます。

スポーツコンディショニング

スポーツコンディショニングとしてよく使われるアミノ酸は、BCAA、アルギニン、シトルリン、ヒスチジン、オルチニン、グルタミン、セリン、GABAなどです。上記でも紹介したBCAAは、筋タンパク質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めるアミノ酸であり、持久力の向上、筋肉の修復、疲労回復、筋肉痛の軽減など、幅広い効果が期待できます。

これらのアミノ酸は、効果によって摂取するタイミングを使い分けることで、筋肉増強、トレーニングの効率化、パフォーマンスアップ、ケガの防止など役立ちます。アミノ酸は、高レベルのアスリートだけでなく、初心者や趣味レベルのスポーツ愛好家にもニーズがある機能性成分です。

シニアの健康維持

シニアの健康維持としては、BCAA、アルギニン、オルニチン、グルタミンなどのアミノ酸がよく使われます。これらのアミノ酸は、加齢に伴う筋肉量の減少や身体機能の低下などの改善と、食欲の減退にともなう栄養不足の補助を目的に使われます。筋力低下の予防と筋肉増強に役立つBCAAは、高齢者のQOLに大きく影響するロコモやサルコペニアの対策に役立つと注目されています。

効率の良いエネルギー源であり、タンパク質の合成と代謝を促進し、免疫機能に作用するアミノ酸は、加齢による消化機能の低下で、多くの量を食べられなくなったり、栄養を効率よく吸収できなくなったり、免疫が低下して風邪を引きやすくなったりしたシニアの健康維持に役立ちます。

美容

美容目的によく使われるアミノ酸は、シトルリン、セリン、システイン、アルギニン、オルニチンなどです。肌の角質層に含まれる「天然保湿因子」の約半分はアミノ酸とその仲間から構成されていて、真皮に含まれるコラーゲンもアミノ酸からできています。

アミノ酸は、いわゆる美肌目的や髪の毛の悩みの解消目的に使われることが多く、現在も多くの企業や研究機関で効果の研究が進められています。

アミノ酸スコアとは ― 摂取の効率化のために知っておきたい数値

アミノ酸を効率よく摂取するためには、「アミノ酸スコア」という考え方を知る必要があるでしょう。アミノ酸スコアとは、タンパク質の栄養価を示す指標です。アミノ酸スコアは、「100」がもっとも高い数値であり、その食品内のタンパク質にどれだけ必須アミノ酸が含まれているかによって算出されます。

アミノ酸スコアの考え方には、「アミノ酸の桶の理論」がよく使われます。「アミノ酸の桶の理論」とは、9種類の必須アミノ酸の含有量で桶を作り、全てが満たされていれば桶の中の水はこぼれないという理論です。
これは、9種類の必須アミノ酸が満たされていれば、十分なタンパク質を体内で作れるが、どれか1種類の必須アミノ酸が少ない状態では、不足した分のタンパク質しか作られない、ということを意味しています。つまり、タンパク質の生成を目的にする場合は、アミノ酸スコアが100の「必須アミノ酸が満たされた状態」である食品やサプリメントを摂取するほうが効率が良いということです。

しかし、これはあくまでもタンパク質の生成に限った数値です。健康のためには、バランス良く栄養素を摂取する必要があり、アミノ酸スコアが100のものだけを食べていれば良いというわけではありません。必須アミノ酸を十分に摂取しつつ、バランスの良い食事を摂るためには、下記のアミノ酸スコアを考慮しながら複数の食材を組み合わせていくことが大切です。食事だけで補えないときは、サプリメントなどもうまく活用しましょう。

代表的な食品のアミノ酸スコア
  • 豚肉(ロース)…100
  • あじ(生)…100
  • 白米…65(玄米は68)
  • 食パン…44
  • 牛乳…100
  • 鶏卵…100
  • 大豆…100
  • じゃがいも…73
  • トマト…51
  • キャベツ…53

おわりに:効率が良い必須アミノ酸の摂取にはアミノ酸スコアが役立つ。ただし、栄養バランスを整えることが大切

アミノ酸は私たちの体を作る「タンパク質」の主成分でもあり、神経伝達物質などの原料にもなります。アミノ酸の研究は日進月歩で進んでいて、「機能性成分」という体に良い効果をもたらす働きも注目されています。
必須アミノ酸を効率よく摂取するためには、「アミノ酸スコア」を目安にすることが役立ちますが、健康維持や美容、スポーツコンディショニングには、アミノ酸以外の栄養も必要です。栄養は、それぞれ相互に作用し健康や美容に役立っていますので、サプリメントなどをうまく利用しながら、バランスよく摂取するように心がけましょう。

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