アミノ酸にはどのくらい種類があるの?摂取で得られる効果は?

2019/8/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

アミノ酸という物質は、清涼飲料水や健康食品などでもよく聞かれる大切な栄養素の1つです。しかし、一口にアミノ酸と言っても、さまざまな種類があります。体内で作れないアミノ酸を効率よく摂取するための「アミノ酸スコア」という指標もあります。

さらに、アミノ酸の種類によって、期待できる良い効果も違うのです。人間の体を作るアミノ酸の種類と効果を知り、上手にアミノ酸を摂取しましょう!

アミノ酸ってどんな栄養素?

アミノ酸は私たちの体の筋肉や臓器・ヘモグロビン・髪や皮膚のコラーゲンなどを作っている「タンパク質」を構成する物質です。成人の体は約60%が水分、約20%がタンパク質、約15%が脂肪、約5%が糖質やその他の物質でできています。私たちの体は、約20%がアミノ酸でできている、ともいえます。

アミノ酸の発見は1806年にさかのぼり、フランスでアスパラガスの芽から発見されたそのアミノ酸は「アスパラギン」と名づけられました。その後、尿結石から「システイン」、ゼラチンから「グリシン」、筋肉から「ロイシン」など、人間のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸がすべて発見されました(ヒトのタンパク質には「セレノシステイン」という特殊なタンパク質もごく一部にありますが、非常に特殊でまだ研究も進んでいません)。

化学調味料の1つであり、昆布や野菜に含まれる旨味成分としてよく知られているグルタミン酸は、1866年に発見されました。当時は小麦のタンパク質「グルテン」から発見されましたが、その後、1908年に日本で昆布の旨味成分であることが発見され、そこから有名な化学調味料が作られて日本中に普及しました。

さらに、アミノ酸は生命の起源でもあると考えられています。地球外から飛来した、原始大気から偶発的に生まれた、原始の海洋中から発生したなど、諸説ありますが、いずれの場合もアミノ酸から生命に進化していったと考えられています。化石や隕石からもアミノ酸が発見されることが、こうした説を裏付けています。

人間のタンパク質を構成するアミノ酸は?

人間の体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、体内で合成できるかどうかによって「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分けられます。

必須アミノ酸(体内で合成できない)
イソロイシン・ロイシン・バリン・リジン(リシン)・ヒスチジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン(トレオニン)・トリプトファン
非必須アミノ酸(体内でも合成できる)
アスパラギン・アスパラギン酸・アラニン・アルギニン・システイン・グルタミン・グルタミン酸・グリシン・プロリン・セリン・チロシン

必須アミノ酸のうち、イソロイシン・ロイシン・バリンは「分岐鎖アミノ酸(=BCAA)」という分類で呼ばれることも多く、筋肉を構成するタンパク質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めています。筋タンパク質の分解を防ぎ、疲労を軽減するため、運動や筋トレをする人の間でよく知られているアミノ酸です。

このほか、タンパク質を合成した後で何らかの修飾を受けてできる「合成後修飾アミノ酸」や、タンパク質にはならないが体内に存在する「遊離アミノ酸」などもあります。遊離アミノ酸の一種である「GABA」は、興奮をしずめてリラックス効果をもたらす「抗ストレス作用」があるとして、よく食品にも配合されています。

アミノ酸摂取で得られる効果は?

アミノ酸の研究が進むにつれ、栄養素としての役割以外に「機能性成分」としての働きが注目されるようになってきました。ヘルスケアとしてアミノ酸に期待されていることは主に「美肌」「スポーツ」「シニアの健康維持」があります。それぞれ以下のような内容です。

美肌
アミノ酸:シトルリン・セリン・アルギニン・オルニチン
肌の角質層に含まれる「天然保湿因子」の約半分は、アミノ酸とその仲間
真皮に含まれるコラーゲンもアミノ酸からできている
美容業界においてますます注目されるアミノ酸効果
スポーツ
アミノ酸:BCAA・アルギニン・シトルリン・ヒスチジン・オルチニン・グルタミン・セリン・GABA
BCAAは筋タンパク質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占める
アミノ酸摂取により、疲労軽減や集中力持続などの効果も
高レベルのアスリートだけでなく、多くのスポーツ愛好家にも広まると考えられている
シニアの健康維持
アミノ酸:アルギニン・オルニチン・グルタミン・BCAA
加齢に伴う筋肉量の減少・身体機能の低下・食欲の減退などを改善する
エネルギー源となるほか、タンパク質の合成・代謝を促進したり、免疫機能に作用する
先進国で進む高齢化社会において、シニアの健康維持が重要な課題となっている

アミノ酸を効率よく摂るために押さえるべき「アミノ酸スコア」って?

アミノ酸を効率よく摂取するために、まずは「アミノ酸スコア」という考え方を知る必要があります。「アミノ酸スコア」とはタンパク質の栄養価を示す指標で、100がもっとも高く、その食品(内のタンパク質)にどれだけ必須アミノ酸が含まれているかによって算出されます。必須アミノ酸は体内で合成できないため、必ず食品から摂取しなくてはならないからです。

アミノ酸スコアの考え方には、「アミノ酸の桶の理論」という理論がよく使われます。9種類の必須アミノ酸の含有量で桶を作り、全てが満たされていれば桶の中の水はこぼれない、すなわち、十分なタンパク質を体内で作れる、ということです。しかし、どこか1種類の必須アミノ酸が少ないと、少ない部分までしか水をとどめておくことができません。つまり、その分のタンパク質しか作られない、ということになります。

代表的な食品のアミノ酸スコアは以下の通りです。

  • 豚肉(ロース)…100
  • あじ(生)…100
  • 白米…65(玄米は68)
  • 食パン…44
  • 牛乳…100
  • 鶏卵…100
  • 大豆…100
  • じゃがいも…73
  • トマト…51
  • キャベツ…53

もちろんこれはあくまでもアミノ酸に限った数値ですから、バランス良く栄養素を摂取するためには、アミノ酸スコアが100のものだけを食べていれば良いというわけでもありません。必須アミノ酸を十分に摂取しつつ、バランスの良い食事を摂るためには、アミノ酸スコアを考慮しながら複数の食材を組み合わせていくことが大切です。

どうしても必須アミノ酸が摂取しきれないときは、サプリメントなどで補うのも1つの方法です。タンパク質が足りないと、筋肉量の減少・肌や髪のトラブル・集中力や思考力の低下などの体調不良を招きます。食品やサプリメントを上手に活用し、必須アミノ酸をバランスよく摂取しましょう。

おわりに:アミノ酸スコアを上手に利用し、必須アミノ酸を摂取しましょう

アミノ酸は私たちの体を作る「タンパク質」の主成分でもあり、ホルモンの原料にもなり、遊離アミノ酸として各所に存在する、さまざまな役割を持った物質です。とくに、近年ではアミノ酸の研究が進み、「機能性成分」という体に良い効果をもたらす働きが注目されています。

必須アミノ酸を効率よく摂取するための目安として「アミノ酸スコア」という数値もあります。これらのデータを上手く活用し、賢くアミノ酸を摂取しましょう!

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