記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/7 記事改定日: 2017/8/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
今全国で話題となっているヒアリ。万が一刺されてしまったらどうすればいいのでしょうか。刺される前に!是非ご覧ください。
ヒアリに刺された場合の症状には、刺された部分の局所症状と、全身に出る症状の2種類があります。局所症状は刺し傷周囲の痛み、腫れや赤み、痒み、膿瘍の形成が、全身症状としては重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーが挙げられます。
ヒアリに刺された瞬間から強烈な痛みが生じ、周囲を含め赤い腫れが生じます。次第に膿のたまった発疹ができ、数日かけて段々と消えてよくなっていく経過をたどります。局所症状だけであれば特別な治療は必要ありませんが、痛みや痒みを伴う炎症に対して痒みどめやステロイドの軟膏を塗るのが症状緩和には有効です。軟膏の種類については医師に相談しましょう。膿のつまった発疹はできますが、細菌感染によるものではないので抗生剤は基本的には不要です。
ヒアリに刺されてから通常数分で以下のような症状が出現した場合は「アナフィラキシー」と呼ばれる、ヒアリの毒素に対するアレルギー反応が考えられます。
・全身の強いかゆみ
・息苦しさ、ゼーゼーといった喘鳴
・強い嘔気、気持ち悪さ
・血の気が引くような、立ちくらみと似た感覚
これらの症状が出た場合はすぐに病院を受診してください。症状が強い場合は必ず救急車を呼びましょう。生命に関わることがあります。
もし以前にアナフィラキシーを起こしたことがある人で、エピネフリン製剤を持っている人であればすぐに大腿部にエピネフリンを筋注してください。症状が改善するはずです。アナフィラキシーは強いアレルギー反応ではありますが、一般の抗アレルギー薬では対処ができません。必ず病院をすぐに受診してください。
アナフィラキシーは何度かヒアリに刺されたことのある人で生じることが多いとされますが、初回でも症状を認める場合もあり注意が必要です。アナフィラキシーを生じた人に予め免疫をつけておく療法も研究中ですが、ヒアリに対する免疫療法は日本ではまだ一般的ではありません。アナフィラキシーの治療・対処法等ついてはこちらの記事もご覧ください。
夏の終わり、雨の後に急にヒアリが攻撃性を増し、集団で襲いかかることがありこれを「massive attack」と呼びます。屋内にヒアリが生息していた場合、子供や高齢者が狙われることが多く、注意が必要です。具体的にはこちらの記事を参照してください。
不幸にもmassive attackが起こってしまった場合は一刻も早く病院へ襲われた人を搬送してください。緊急処置が必要になるため、より大きな病院への搬送が望ましいでしょう。この場合、自分での対処は不可能と考えてください。
ヒアリに刺された場合、痛みは強いものの局所症状のみであれば経過を見ることが可能です。しかし、息苦しさや気持ち悪さを筆頭とする全身症状を生じた際は必ず病院を受診してください。迅速に、落ち着いて対処しましょう。
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