記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/30 記事改定日: 2018/11/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
寒い季節になると流行することのある「マイコプラズマ肺炎」ですが、子供がマイコプラズマ肺炎と診断されてしまった場合、どのような治療が行われるのでしょうか?学校はいつまで出席停止になるのでしょうか?
マイコプラズマ肺炎は、感染者の咳などのしぶきを吸い込むことによる飛沫感染や、接触感染を通じて発症します。
子供の場合、友達同士で遊ぶといった濃厚接触によって感染することが多いと考えられており、事実、学校などの共同施設で感染が拡大するケースがあります。
マイコプラズマ肺炎の感染で現れる主な初期症状は、発熱やだるさ、頭痛ですが、幼児の場合はさらに鼻水などの鼻炎症状も現れるのが一般的です。
そして、これらの初発症状が現れてから3~5日後に痰を伴わない咳が現れ始めます。咳は徐々に強くなり、熱が下がってからも3~4週間ほど続きます。なお、年長児の子供は、時間の経過とともに咳に痰が絡むようになる傾向にあります。
マイコプラズマ肺炎に対しては、一般的に抗生物質による治療が行われます。ただし、有効な抗生物質は限られており、子供のマイコプラズマ肺炎治療にあたってはマクロライド系抗生物質が用いられるのが一般的です。
場合によってはテトラサイクリン系の抗生物質を用いることもありますが、その際は歯に着色してしまうという副作用があるためお子さんの場合は特に注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎は、薬を飲んでもしばらく熱が下がらないことがあります。肺炎を引き起こしているマイコプラズマを退治するには、マクロライド系などの抗生物質が必要であり、抗生物質を服用している間は体内の免疫細胞が活発に働くため、発熱が生じやすくなるのです。
多くは抗生物質を服用すれば3日程度で熱が下がりますが、乳幼児では発熱が続くことがあります。発熱が続くことで脱水症状が生じるなど全身状態が悪化している場合には、ステロイド投与などの治療が行われることもあります。
学校保健安全法においてマイコプラズマ感染症は、条件によっては第三種の「その他の感染症」として、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでの期間の出席停止の措置が必要と考えられています。マイコプラズマ肺炎は症状や原因菌の排出が長引く傾向にあるので、登校や登園の時期に関しては自己判断せず、必ず医師の確認をとってください。
子供がマイコプラズマ肺炎にかかった場合、発熱が続いているときはなるべく安静にして水分を多く摂るようにしながら、処方された薬をしっかり服用するようにしましょう。また、加湿器などを用いて室内の乾燥に注意し、喉を潤すように心がけましょう。
抗生物質を服用すれば、3日程度で熱が下がることが多いですが、熱が下がった後も咳や倦怠感などの症状は続きますので、無理は禁物です。また、発症後6週間は唾液や鼻汁にマイコプラズマが排出されますので、マスクを着用するなどして周囲へ感染を広げないようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎は飛沫や接触を通じて広がっていく感染症なので、もし診断された場合は、医師からの許可が下りるまでの間の登校・登園は控えましょう。周囲の人のためにも、そして何より子供自身の体のためにも、自宅でしばらく安静にすることが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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