記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
マグネシウムは栄養素のミネラルです。マグネシウム欠乏症は、先進国においてビタミンDに次いで2番目に多い欠乏症です。マグネシウムの欠乏は血圧を高め、インスリン感受性を低下させます。
マグネシウムは必要不可欠なミネラルであるものの、先進国ではマグネシウム欠乏症が多くみられます。マグネシウムは体の中の様々な酵素が機能するための必須のミネラルで、不足すると、血圧が上昇し、耐糖能が悪化し、神経の興奮を招きます。
一般的に穀物はマグネシウムをあまり含まないため、マグネシウム欠乏症は洋食がメインの方に多くみられます。優れたマグネシウム源として、ナッツ類やほうれん草などの葉物の野菜がありますが、これらの摂取量は一般的に不足しています。食生活の改善によってマグネシウム欠乏症は一般的には治療可能です。マグネシウムは血圧を低下させ、インスリン感受性を高め、神経に対しては少し鎮静効果があります。
正常なマグネシウム値を保つことは、うつ病やADHDに対する保護効果もあるようです。マグネシウムの補給は体脂肪の低下やけいれん痛の軽減にはあまり効果はありません。なお、運動能力の増強にマグネシウムが有効かどうかを判断するには更なる研究が必要ですが、初期の研究成果を見るかぎり、あまり期待はできないようです。
体が必要としている量に応じて腸内で吸収される量も変わるため、補給による副作用はあまりありません。過剰にマグネシウムを摂取しても、体に必要な分のみが吸収されます。しかし、過剰摂取は胃腸障害や下痢を引き起こすことがあります。
マンガン
一般的にマグネシウムは刺激性ではありません。不足した場合、高用量のマグネシウムの急性摂取は軽度の鎮静作用をもたらすことがあります。
一般的なマグネシウム補給時の服用量は200~400mgです。マグネシウムのサプリメントは、クエン酸マグネシウムや酸化マグネシウムなどの状態で販売されていますが、どのようなマグネシウムでもマグネシウム欠乏症の治療に用いることはできます。
下痢や腹部膨満感といった胃腸における副作用は、酸化マグネシウムや塩化マグネシウムの補給によっておきることがあります。これは、これら2つの吸収率が低いことが原因とされます。一般的にはクエン酸マグネシウムがマグネシウムの補給に適しています。
なお、L-トレオン酸マグネシウムは他の形態のマグネシウムよりも脳への移行性がいいとされていますので、脳に対する効果を期待するのであればこの形態がいいかもしれません。逆にL-トレオン酸マグネシウムは錠剤あたりのマグネシウムの量は比較的少ないので全身に対する効果を期待するのであれば別の形態の方がいいかもしれません。