クローン病の症状と合併症の特徴 ― どんなに兆候に注意すればいい?

2017/10/13 記事改定日: 2018/10/5
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

クローン病は、悪化する前の早期発見が重要といわれています。具体的にどんな症状が出たら、クローン病の可能性があるのでしょうか?
この記事では、クローン病の症状や合併症についてまとめました。

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クローン病の症状の種類と現れ方とは!?

クローン病は消化管の病変部位によって「小腸型」「小腸・大腸型」「大腸型」とに分けられ、それぞれで現れる症状は多少異なりますが、腹痛や下痢が現れるのが一般的です。ほかにも下血や発熱、全身の倦怠感、体重の減少といった症状がみられるケースもあります。早期発見のために、これらの症状を見逃さないようにしましょう。

病変部位

クローン病は、原因不明の炎症性疾患です。
全身のいたるところに炎症が生じますが、主に大腸や小腸などの腸管粘膜に炎症が生じ、出血や潰瘍を引き起こします。炎症を繰り返すことで粘膜が線維化して腸管が狭窄することも少なくありません。これらの粘膜の炎症は大腸や小腸以外にも、口から肛門まで全ての消化管に生じる可能性があり、難治性の口内炎や痔などを発症することもあります。

また、消化管以外にも、関節炎や脊椎炎、虹彩炎などの眼症状、尿路結石などの尿路系症状、深部静脈血栓症、うつ病などの多彩な症状が現れるのも特徴の一つです。

クローン病の合併症

クローン病の合併症はおおまかに、腸で起こる「腸管合併症」と腸以外の部位で起こる「腸管外合併症」とに分けられます。

腸管合併症
腸管が狭くなる「狭窄」、炎症によって組織に穴があく「瘻孔(ろうこう)」、膿が溜まる「膿瘍(のうよう)」、腸と周囲の臓器がくっついてしまう「癒着」などがこれに該当します。これらの合併症のために、手術が必要となることもあります。
腸管外合併症
関節炎や目の痛み、口内粘膜に潰瘍ができてしまう「アフタ性口内炎」、胆管が細くなり胆汁がうまく流れなくなってしまう「原発性硬化性胆管炎」、足首などが赤く腫れる「結節性紅斑」などが該当します。このほか、肛門部の痔核や肛門周囲炎も高頻度に見られる合併症です。

クローン病発症後5年でこれらの合併症が起きる患者さんは約30%、10年で約70%といわれています。合併症は早期発見・早期治療が大切なので、継続して診察や検査を受けることが非常に重要です。

クローン病の原因が解明されていないって本当?

クローン病は、10歳代後半から20歳代に好発する慢性炎症性の腸の病気で、近年の患者数は増加傾向にあります。

クローン病の原因は明確にはわかってはいません。原因に関しては諸説あり、遺伝によるものという説や細菌やウイルスによる感染症という説、食事の中の何らかの成分が腸管粘膜に異常な反応を引き起こしている説などさまざまなものがあります。

ただ現段階では、「遺伝的な要因に加え、腸に潜んでいるリンパ球などの免疫細胞が食事や腸内細菌に過剰に反応した結果引き起こされる」という説が有力視されています。具体的には食生活の欧米化が関係していると考えられており、ほかには喫煙習慣も発症リスクを高める要因のひとつと指摘されています。

クローン病の治療で大切なこととは

クローン病は症状が安定している寛解期と、症状が悪化する再燃を繰り返す病気であり、根治的な治療法はまだ見つかっていません。そのため、「寛解を少しでも長く維持すること」を目的とした治療を行っていくこととなります。

クローン病の治療は、5-アミノサリチル酸や副腎皮質ホルモンによる薬物治療がメインです。そのほか、免疫抑制剤や生物学的製剤などが、近年は新しい治療戦略として使われています。

また、栄養療法として中心静脈栄養や経腸栄養なども行われています。日本では、低脂肪で食物繊維を摂り過ぎないような低残渣の食事を推奨しています。ファーストフードやジャンクフードは控えめにしましょう。タバコはNGです。再燃の原因となることが判っています。

おわりに:クローン病は早期発見がカギ。原因不明の腹痛や下痢に注意を!

原因不明であり、根本的な治療法もまだ確立されていない「クローン病」ですが、早期発見・早期治療ができれば、薬物治療などの内科療法で症状がコントロールできるケースがほとんどです。合併症によって手術が必要になる前に、腹痛や下痢といった症状を見逃さないようにしましょう。

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