記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13 記事改定日: 2018/11/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪のような症状が数日続いていたと思ったら、突然症状が悪化、心不全の症状を起こし最悪の場合死亡してしまうというケースがまれにあります。こうした突然死の原因の1つが心筋炎です。この記事では、心筋炎の症状や原因、対処法についてご紹介します。
心筋炎には、「急性心筋炎」と「劇症型心筋炎」の2つがあります。
急性心筋炎は、心臓を動かす筋肉にウイルスなどが感染して炎症を引き起こす病気です。風邪のような症状に始まり、不整脈・心不全・ショック症状へと進展していきます。心臓の働きが低下し、心臓から送られる血液量が減少、血圧も低下し、その結果、心臓のリズムが乱れて突然死へと繋がることがあります。
劇症型心筋炎は、急性心筋炎の状態が顕著にみられ重度のショック症状が引き起こされる状態のことを言います。死に至るほどの急激な病状変化がみられ、生命の危険がある状態です。
心筋炎の主な原因となるウイルスは風邪などの原因ウイルスと同じことが多いです。そのため、発症した段階では風邪と似たような症状がみられます。
ただ、心筋炎の場合は胸部に持続的な鈍痛を感じるのが特徴的な症状の1つになります。
風邪と同じく、発熱、咳、喉の痛み、筋肉痛、全身の倦怠感、胃のムカつきなどの消化器症状がみられ、ひどい場合には心不全を伴うこともあります。また、急性心筋炎になっても、症状が出ない場合もあり、症状には個人差があります。
劇症型心筋炎の症状は風邪の症状から一転します。手足が冷える、言いようのない身体の倦怠感、不整脈が現れるなどです。極端な症状では、失神や呼吸困難から急性心不全へと変化します。
心筋炎の原因としては、いくつかのものがあります。
上記にあるように心筋炎にはいくつかの原因がありますが、風邪などの病因ウイルスと同じケースが多くみられます。
症状が風邪と似ているため、心筋炎は発見が難しく対処が遅れることも少なくありません。発見が遅れれば遅れるほど、生命の危険のリスクも増加します。
現時点では、心筋細胞は再生できない細胞とされており、炎症によって心筋の壊死が広がると、心臓が不可逆的なダメージを追ってしまいます。そのため、心筋炎を起こすと心不全や不整脈など様々な合併症を併発するリスクもあるため危険です。
いつもの風邪の症状とはちょっと違うなと感じる、胸に今まで感じたことのない違和感があると思ったときは、迷わず医療機関を受診しましょう。
心筋炎の多くは、ウイルス感染によるものです。ウイルスにはヘルペスやインフルエンザなど抗ウイルス薬があるものもありますが、一般的にはウイルスを排除する薬はありません。
このため、ウイルス性の心筋炎の場合には、症状が自然によくなるのを待つしかありませんが、心臓の機能が低下していたり、不整脈が生じているような場合には、強心薬や利尿薬など心臓への負担を減らすための薬物療法が行われます。
また、薬物療法によっても心臓の機能低下が改善せず、血液循環を維持できない場合には、心肺補助装置を使用して生命維持を試みます。
一方、細菌や真菌感染によるものでは、これらの治療以外にも抗生物質や抗真菌薬が使用されます。
心筋炎は、放っておくと命に係わってくる病気です。特に、劇症型心筋炎は一分一秒を争う緊急事態を引き起こします。風邪のような症状しかないからと甘く見ずに、少しでも異常を感じたら、手遅れになる前に医療機関を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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