慢性膵炎の治療は手術が必要!?どうやって手術するの?

2017/12/8 記事改定日: 2018/10/13
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

膵臓の正常な組織が壊され、硬くなってしまう「慢性膵炎」。この慢性膵炎では、どのように治療をすすめていく必要があるのでしょうか。手術の内容や自宅でのセルフケアなどのポイントをまとめましたので参考にしてください。

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慢性膵炎になると、どんな症状が現れる?

慢性膵炎とは、膵臓の炎症が繰り返されたことによって、膵臓の正常な組織が壊されて硬くなる病です。膵臓の働きが低下すると膵液が十分に分泌されなくなって、食物の消化や吸収が上手く行われなくなります。

慢性膵炎になると腹痛、背部痛が発生します。腹痛はみぞおちから左の脇腹にかけて起こることが多いとされていますが、背部や左右に広がることもあり、痛みの範囲は広めと言えます。鎮痛薬が効きにくいことも特徴であり、座ることで痛みが軽減するなど体勢によって変化があります。

また膵臓には、栄養素を分解する作用のある膵液を分泌する役割があるので、慢性膵炎によってこの膵液が分泌されなくなることで、食欲不振や倦怠感などが現れることもあります。

慢性膵炎は手術が必要なの?

慢性膵炎になると、膵石や膵のう胞などの合併症を発症することもあるので、手術が必要になるケースがあります。手術では患部を切除し、残った膵臓の働きを良くすることが目的です。一度機能を完全に失ってしまった膵臓の細胞は良くならないので、早い段階で取り除くなどの方法を取る必要があります。

また、慢性膵炎の痛みも、手術を行う決定理由になり得ます。鎮静薬で対処するという選択肢もありますが、根本的には患部を直接手術で治療したほうが有効とされています。

慢性膵炎の手術療法の内容とは?

基本的には、慢性膵炎は食生活の改善や薬物療法など体に負担の少ない治療が行われます。しかし、膵石が形成されて膵管を閉塞している場合や、膵管が細くなっている場合は膵液が膵臓内に停滞し、腹痛などの原因となりますので手術が必要になることがあります。また、何らかの症状を引き起こしている大きな膵嚢胞が形成されている場合も、切除が必要なことがあります。

手術は内視鏡で行う場合と、外科的に開腹して行う場合がありますが、それぞれの内容は以下の通りです。

内視鏡手術

膵管が細くなり、膵液の停滞が生じているケースでは、内視鏡を十二指腸まで挿入し、十二指腸にあるファーター乳頭(膵管の出口)から膵管にチューブを挿入して膵管を広げる手術が行われます。また、小さな膵石であれば、内視鏡手術で排石できることもあります。

開腹手術

大きな膵石が膵管を閉塞している場合には、閉塞した膵管を切除して小腸とつなぎ合わせ、膵液の流れを確保する手術が行われます。また、膵嚢胞が形成されているケースでも、サイズが大きく腹痛の原因となっているような場合には手術によって切除することもあります。

食事療法の重要性と食生活改善のポイント

慢性膵炎では、食事療法でその進行を遅らせることも重要です。

まずは脂質です。脂質を分解する際には膵液が重要な役割を果たしますが、慢性膵炎になると膵液の分泌量が減ってしまいます。そのため、慢性膵炎の患者さんでは脂質の摂取量に気をつける必要があるのです。そして、野菜や果物はたくさん摂取する必要があります。脂質の代謝や排泄を促す際に、ビタミンが必要になるからです。

また、塩分やタンパク質の過剰摂取も、膵臓の負担を増やす恐れがあるので注意が必要です。逆に胃の滞留時間が短いとされる糖質は、この病になってからも比較的摂取しても問題がない栄養素となります。

食事のときの注意点

慢性膵炎によって、一度膵臓の機能が低下すると、その機能は元通りにはなりません。そのため、慢性膵炎の治療では膵臓の切除が必要となるケースが多いです。

だからこそ、膵臓の機能を落とさない生活習慣が重要となります。食物酵素が得られる果物や野菜などを積極的に摂取し、膵臓の負担軽減につなげていきましょう。なお、食物酵素は熱に弱いので、食べる際は生のものがおすすめです。

また、睡眠も大切です。睡眠時間を確保することで体の消化機能が良くなる可能性があります。

おわりに:症状が進行しないよう、自宅での食事内容にも注意しよう

一度膵臓の機能が失われてしまうと、その機能を元通りに回復させることはできません。慢性膵炎と診断された場合は、それ以上病状が進行しないよう、食事内容や食べ方に十分気をつけましょう。

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