記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
離断性骨軟骨炎は、子供に多いスポーツ障害で、野球やテニス、ゴルフなどのやりすぎで起こることが多いです。離断性骨軟骨炎になるとどのような症状が起こるのでしょうか。離断性骨軟骨炎の基礎知識を紹介していきます。
離断性骨軟骨炎とは、激しい運動などが繰り返されることによって関節にある軟骨の一部が剥がれ、関節を動かしにくくなったり曲げ伸ばしが困難になってしまう整形外科疾患です。
膝関節や肘関節、股関節、足関節などに発生しやすく、各関節部の痛みや関節の中に何かが引っかかるような感覚を覚えます。症状が進行すると剥がれかけた軟骨が完全に剥がれてしまい、剥がれた軟骨が関節遊離体となって曲げ伸ばしの際に引っかかりゴリッという音を生じさせることもあります。
主に成長期の小中学生やスポーツ選手に多く、特に小中学生の野球選手によくある「野球肘」も離断性骨軟骨炎が原因になることが多いです。
離断性骨軟骨炎が発症する一番大きな原因は、スポーツなどで特定の関節に度重なる衝撃や外傷が繰り返されることです。軟骨組織が衝撃に耐えられなくなり、剥がれてくることで血流障害が発生して剥がれた部分が壊死してしまうことが原因だと考えられています。
まだ軟骨部分が十分に発育しきっていない小中学生の男子に多く、急激な筋肉の発達によって、関節に対する負荷が許容できる範囲を超えてしまったときに発症します。小中学生の女性でも発症することはありますが、その割合は男性の半分以下と症例が少ないのも特徴です。
離断性骨軟骨炎の代表的な症状は、軟骨が剥がれる度合いによって異なります。
初期の段階では外見上は正常な状態のときと変わらず、運動後に軽い痛みを感じたり関節の違和感がある程度で、軟骨にも損傷は見られるものの亀裂や剥がれは発生していません。
軟骨に亀裂が入り剥がれ落ちるような段階になると、痛みが強くなり関節を動かした際に引っ掛かりを感じたり、関節が腫れてくるようになります。剥がれ落ちた軟骨片が大きい場合は、ゴリッと異音がして関節をしっかり曲げ伸ばしできなくなる「ロッキング」と呼ばれる症状がみられるようになります。
症状からは筋肉痛や小中学生に多い成長痛と勘違いしやすいので、知らずに症状が進行して重症化してしまうことがあります。
治療方法は軟骨片が完全に剥がれて遊離してしまっているかどうかが影響してきます。まだ剥がれきる前の段階では、保存療法で自然治癒する可能性があります。まず、発症する原因となったスポーツや動きを中止して関節をギプスや固定具、専用のサポーターなどで固定し、改善が認められるようであれば痛みが無くなるまで固定を継続します。
保存療法で改善が認められない場合や完全に軟骨が剥がれてしまっている場合は手術療法の対象です。関節内視鏡を使って剥がれた骨片を取り除く外科手術が行われます。関節内視鏡手術は手術跡が小さいうえに術後の痛みも少ないのが特徴で、比較的早くからリハビリを開始することが可能ですが、膝や足などの受傷ケースでは、術後しばらくは松葉杖を必要とすることになります。
離断性骨軟骨炎は、完全に軟骨が剥がれきる前であれば、保存療法で自然治癒する可能性があります。しかし、重症化して完全に軟骨が剥がれて遊離してしまうと、症状も悪化し手術が必要になってしまうかもしれません。違和感がある、少し不具合がある程度のうちに整形外科に相談し、重症化を防ぐようにしましょう。