先天性股関節脱臼には、どんな治療法があるの?

2017/12/5

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

先天性股関節脱臼とは、赤ちゃんの股関節がうまくはまっていなかったり、完全に外れてしまっていることをいいます。この記事では、先天性の股関節脱臼と後天性のものの違いと、先天性股関節脱臼の原因と治療方法について解説しています。

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先天性股関節脱臼について

先天性股関節脱臼とは、出生児または出生後数ヶ月の間に大腿骨(太ももの骨)の先端が骨盤にはまらず、外れてしまっている状態の事です。先天性股関節脱臼は完全脱臼だけではなく亜脱臼も含み、先天性とはいいますが生まれた時すでに脱臼が完成している事は少ないといわれています。
多くは出生後に徐々に骨頭が転位し、脱臼へとなっていく場合が多く、生後3、4ヶ月後の検診のときに発見されるようです。そのため、近年では発育性股関節形成不全と呼ばれるようになっています。

男児より女児の方が10倍程多く、

・おむつを取り替えるときに股の開きが悪く、痛がって泣く
・歩き始める時期が遅い
・脱臼している方に皮膚のたるみやシワができている
・左右の脚の長さが違い脚の開きに左右差がある
・膝を曲げた状態で股を広げるとポキポキ音がする

などが代表的な症状として挙げられます。

先天性股関節脱臼の原因は?

先天性股関節脱臼の原因は複数あり、先天性のものと後天性のものがあります。

先天性の原因として、骨盤位(産道からみて胎児の頭部より、骨盤が先進している状態)、双角子宮、子宮筋腫、多胎、羊水過小などの子宮環境や、ホルモンや遺伝の関与などが挙げられます。上記でも触れましたが、先天性としての発症は1割程度で、残りの9割は後天的な原因によるものといわれています。

後天的な原因は、不良姿勢に起因するものが多いといわれています。
赤ちゃんの足を無理に真っ直ぐ引っ張っておむつや服を着せたり、抱っこの仕方が悪かったりすることなどが原因になることもあります。

どうやって治療するの?

先天性股関節脱臼は、症状が軽ければ日常的な工夫をするだけで改善することも少なくありません。おむつのサイズに余裕をもたせたり、股オムツにしたり、赤ちゃんの抱き方工夫しながら赤ちゃんの両脚がなるべくM字形になるようにしましょう。

日常的な工夫で治らない場合は、リーメンビューゲルという特別な装具を使う治療法があります。リーメンビューゲルは、開脚位で固定して、赤ちゃんの理想的な姿勢(M字型)をサポートしてくれるようになっている器具です。3~4ヶ月継続することで、80%が改善するとされています。リーメンビューゲルでも治らない場合は、牽引治療法やギプスによる治療法が行われ、それでもよくならない場合は手術での治療になります。

おわりに:おむつ交換のときなどに股関節の状態をチェックして、はやめに気づいてあげられるようにしよう

先天性股関節脱臼は、先天性のものよりも後天性のもののほうが多いため、出産後も赤ちゃんの様子をチェックしておく必要があります。赤ちゃんの股の開きが悪かったり、股関節からポキポキ音がするなどの症状に気づいたら、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

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