記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/21 記事改定日: 2018/12/6
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
深部静脈に血栓ができてしまうことで、重篤な症状を引き起こす危険性のある「深部静脈血栓症」。実はこの深部静脈血栓症は、自宅での治療も可能という話が…。
果たしてそれは本当なのでしょうか?
この記事では、深部静脈血栓症の治療について詳しく解説していきます。
深部静脈血栓症は、深部静脈に血液のかたまりが形成される病気です。
この血液のかたまりを血栓と呼び、血栓は通常の場合は脚で発生します。血栓ができる原因としては血液を固める症状のある病気であったり、心臓に戻る血液が遅くなっていたりといったことが考えられます。血栓ができると足や腕に腫れを生じることがあり、その血栓が剥がれて血流に乗り、そのまま肺に到達することで肺塞栓症を引き起こす恐れがあります。
深部静脈血栓症になった人の半数ほどは症状が出ないとされていますが、そのまま放っておくと肺塞栓症や慢性静脈不全症、虚血などを引き起こす恐れがあるので、発見するためにドプラ超音波検査や血液検査を行います。
ただ、通常の診断では発見できないケースも多いです。症状としては胸の痛みや息切れ、むくみを生じたりすることもあります。
深部静脈血栓症は、放っておくと様々な合併症を引き起こす可能性があるので治療を行う必要があります。
なかでも肺塞栓症は血栓の大きさや数で症状が大きく異なり、小さな血栓の場合は肺梗塞になっても重篤な症状が現れない可能性が高いですが、大きな血栓ができると肺に向かう血流がほぼ完全に遮断されて、死に直結する恐れがあります。
そのため、深部静脈血栓症であると診断を受けた場合はなるべく治療を受ける必要があります。
深部静脈血栓症の治療では始めは入院する必要がありますが、その後の経過次第で自宅での療養が可能となることが多いです。
自宅で治療するといっても基本的には活動に制限はありません。治療は投薬が中心であり、治療は比較的行いやすくなっています。
深部静脈血栓症の治療法には、まず投薬治療として抗凝固薬、血栓溶解薬が使われます。
まず、抗凝固薬はいかなる深部静脈血栓症でも投与する必要がある薬です。抗凝固薬を使用すると血が固まりにくくなるので、出血の際のリスクが増大します。そのため、投薬中は定期的な血液検査を受ける必要があります。投薬のペースは徐々に遅くなっていき、2ヶ月以上経つと4週間から6週間程度に1回となります。
血栓溶解薬で血栓を溶かす方向で治療を行うこともありますが、血栓が形成されてから48時間以内ならば投与することができます。
下大静脈フィルターの治療は、血栓フィルターを使って血栓が肺へと到達することを防ぐのが目的ですが、血栓フィルターを留置するのは、非常に稀なケースです。抗凝固薬とは異なり、フィルターを留置しても新しい血栓を防ぐことはできません。
血栓フィルターを留置するのは抗凝固薬を使用できないケースや使用しても効果が出ないケースに限られます。
大きな血栓がある場合や、投薬治療・下大静脈フィルターなどを行っても症状の改善が見込めないような場合には、カテーテル治療や血栓摘出術が行われることがあります。
それぞれの適応条件と治療内容は以下の通りです。
カテーテル治療では、適応条件に当てはまる場合、腸骨大腿静脈カテーテルを挿入して直接高濃度の血栓溶解薬を投与する治療やカテーテルを介して血栓を吸引する治療が行われます。
適応条件は以下の通りです。
血栓摘出術は、外科的に大腿静脈を露出・切開して血栓除去カテーテルを挿入し、血栓を摘出する治療です。
適応条件は以下の通りです。
深部静脈血栓症は始めは入院する必要があるものの、経過によっては自宅で服薬を続けることで治療可能なケースもあります。重症度に応じて選択できる治療法は異なる場合があるので、詳しくは主治医にご相談ください。
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