記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/9 記事改定日: 2018/8/28
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
空腹時血糖値とは、一定時間ブドウ糖を摂取していない状態での血糖値で、この値が高いと糖尿病の可能性が指摘されます。こちらの記事では、空腹時血糖値の正常値や血糖値で分ける糖尿病の分類について解説します。
糖尿病にかかっているかどうかを明らかにするためには、血液内のブドウ糖濃度である血糖値を調べなければなりません。空腹時血糖値とは糖尿病の診断基準のひとつであり、10時間以上、少量の水以外何も飲食しない状態で計測した血糖値を指します。
糖尿病は、血糖値によって「糖尿病型」「境界型」「正常型」の3つに分類されます。また、すでに糖尿病にかかっているケースだけでなく、糖尿病予備軍であることもわかります。
空腹時血糖値の正常値は、109mg/dlまでです。しかし、空腹時血糖値が100~109mg/dlであれば、通常より高めではあるものの正常範囲内である「正常高値」とされ、より詳細に検査することで糖尿病や糖尿病予備軍と判明するケースもあります。
空腹時血糖値が110mg/dL未満なら正常型、126mg/dL以上なら糖尿病型です。正常型と糖尿病型のどちらにもあてはまらない場合は「境界型」と分類されます。この境界型とは、糖尿病に移行するリスクが高い状態を示します。
空腹時血糖値が糖尿病型と判明したからといってすぐに糖尿病と診断されるわけではありません。空腹時血糖値、随時血糖値、OGTT2時間値のいずれかが糖尿病型であり、なおかつ過去1~2ヶ月の血糖値を反映する「HbA1c」が6.5%以上の場合、OGTTの1度目と2度目両方の血糖値が糖尿病型であった場合に糖尿病と確定されます。
また、いずれかの血糖値が糖尿病型で、口渇、多飲、多尿といった糖尿病の特徴的な症状や、明らかな網膜症が認められる場合も糖尿病と診断されます。
糖尿病予備軍とは、「糖尿病か糖尿病じゃないかの境界ライン」にある状態のことをいいます。
つまり、検査上は糖尿病の範疇には当てはまらないものの、限りなく糖尿病の範疇に近く、将来的に糖尿病になる可能性の高い人のことです。
糖尿病は血液検査の結果によって診断されますが、空腹時血糖値が126㎎/dL以上、食後2時間後血糖値が200mg/dL以上、そして過去1~2か月の血糖の状態を示すHbA1cが6.5%以上を糖尿病とします。一方、糖尿病予備軍はこの基準に当てはまらないものの、空腹時血糖値が110mg/dL以上、食後2時間後血糖値が140mg/dL以上、HbA1cが6.0%以上の人のことです。
糖尿病予備軍の人は、正常な人に比べて血糖値がやや高い状態であるものの、特に目立った自覚症状は現れませんが、インスリンの分泌低下や作用低下は確実に進行しており、糖尿病発症の前段階と考えてよいでしょう。
糖尿病の診断のためには、空腹時血糖値の検査を含めて以下の3つの検査が行われ、それぞれ異なるタイミングでの血糖値が測定されます。
検査当日の朝食を抜き、空腹の状態で採血して血糖値を測ります。検査の前に食事を摂ると正しい値が測れなくなってしまうため、何も食べていない状態にしておかなければなりません。この検査で測れるのが空腹時血糖値です。
食後の時間を決めずに採血し、血糖値を測る検査です。随時血糖値が測定できます。
検査の10時間以上前から絶食し、ブドウ糖を75g含む飲み物を飲ませた後、一定の時間ごとに採血して血糖とインスリンの変化を調べる検査です。絶食してブドウ糖を摂取する前の空腹状態のときと、摂取30分後、60分後、90分後、120分後に採血して血糖値を測ります。
糖尿病の確定診断のためには、早朝空腹時血糖検査などで空腹時血糖値を正しく測定する必要があります。ただし、空腹時血糖値がわかればよいというわけではなく、OGTT2時間値や随時血糖値も測らなければなりません。空腹時血糖値が高い場合は、医師の指示に従い、すみやかに他の検査も受けるようにしましょう。
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