記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/2 記事改定日: 2019/1/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
外耳炎は、外耳道に細菌などが感染して炎症を起こす病気です。
外耳炎はそこまでひどい症状がでないこともあるので放置してしまう人もいますが、外耳炎を放っておくと別の病気に発展する可能性があります。この記事では、外耳炎を放置することのリスクについて解説しています。
外耳炎(外耳道炎)とは、耳の穴から鼓膜までの間の「外耳道」という管状の器官の壁面にある皮膚や粘膜に細菌が感染し、炎症が起こる病気です。
発症すると耳のかゆみや痛みが感じられたり、耳の穴が詰まったような感覚(耳閉感)をおぼえたりします。症状が重い場合は、透明あるいは黄色く濁った液体である「耳だれ」が出てきたり、発熱したり、軽度の聴覚障害を伴ったりすることがあります。
外耳炎は症状がそこまで重くならないこともあるため「大したことにはならないだろう」と軽く見て放置してしまう人もみられます。しかし、外耳道の炎症が耳の骨にまで到達するなど、大変な病気につながる可能性があるのです。
耳に多少の痛みを感じる程度の軽い症状であれば多くのケースで自然治癒が望めるといわれていますが、3日様子を見ても症状が改善されない場合は、重篤な合併症を予防するためにも、すみやかに病院を受診するようにしましょう。
たとえば、耳かきのしすぎで外耳道全体が湿ったように感じられる状態がしばらく続いているのは、耳だれの流出が慢性化している可能性があります。
このような状態のときは、治療期間が長期化する傾向があり、放置すると中耳炎を合併することがあります。
糖尿病やがんの持病がある人は、急性限局性外耳道炎や外耳性真菌症などを発症しやすくなりますので、持病がある人も必ず病院へ診てもらうようにしましょう。
悪性外耳道炎は緑膿菌やMRSAなどの細菌感染が原因で引き起こされる重篤な病気です。
炎症は外耳道だけでなく、外耳道周囲の側頭骨や顎関節などにも及び、進行すると脳内に波及して膿瘍を形成したり、脳炎・髄膜炎を引き起こすことがあります。
糖尿病や免疫抑制剤を使用している人など、免疫力が低下しがちな人が発症しやすいとされていますが、寝たきりの高齢者などにも発症する危険がある病気です。
発症初期は、強い耳の痛み・耳垂れ・難聴・めまい・耳鳴りなど耳に関連した症状が現れますが、徐々に周囲に炎症が波及すると頭痛や顎関節痛などが生じ、口を開けられなくなることも少なくありません。
また、脳内への波及によって様々な神経障害を引き起こし、意識障害やけいれんを生じることもあります。
なかには抗生物質が効きにくく、死に至るケースもあるので、思い当たる症状がある場合は速やかに病院を受診して治療を開始するようにしましょう。
耳鼻咽喉科では、まずは脱脂綿や吸引器などを用いて外耳道を徹底的に清掃し、軟膏を塗ったり、抗生物質が処方されることがあります。また、ステロイド性の点耳薬でかゆみを抑えることもあります。
進行し中耳炎を合併してしまった場合は、中耳に溜まった膿を出すために鼓膜を切開する場合があります。
適切な治療を行っても外耳炎が治らなかったり、再発を繰り返すのは、外耳道への過度な刺激が原因のことがあります。
外耳炎はかゆみを引き起こすため、耳掃除を頻回に行う人もいますが、耳掃除によって外耳道にダメージが加わって炎症が悪化したり、再発しやすくなることがあります。
外耳炎の治療中や治ったばかりのころは、外耳道への刺激をさけ、なるべく耳掃除は行わないようにしましょう。また、入浴時もシャワーを耳に当てるなど、外耳道内の過剰な洗浄を行うと思わぬダメージを与えることがありますので注意しましょう。
外耳炎は耳掃除のしすぎがきっかけで起こることがあります。耳掃除してはいけないというわけではありませんが、ほどほどにするようにしましょう。また、外耳炎を放置してしまうと中耳炎を合併してしまう可能性があります。気になる症状が現れたら、早めに耳鼻科を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
この記事の続きはこちら