胆嚢がんの治療とは!?手術可能なのはどんな状態のとき?

2018/2/19 記事改定日: 2018/11/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胆嚢(たんのう)がんは、胆嚢や胆管にできる悪性腫瘍です。
この記事では胆嚢がんが見つかった場合、どのような治療が行われるのかについて解説します。
根治のためには早期対策が重要な病気ですので、基礎知識としてしっかり理解しておきましょう。

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胆嚢(たんのう)がんはどんな病気?

胆嚢(たんのう)とは右上腹部のみぞおちのあたりにある、肝臓に隣接した器官です。胆嚢からは胆管という管が出ており、肝臓と十二指腸につながっています。胆嚢は、肝臓から分泌された胆汁を貯留する役割を担っています。また、胆汁は脂肪分を消化するために必要な消化液で、食後に胆嚢が収縮すると胆汁が胆管を経由して十二指腸に流れ、消化を助けます。

発症の原因

この胆嚢や胆管にできた悪性腫瘍を総称して胆嚢(たんのう)がんと呼んでいます。
胆嚢がんが発生する原因として、胆石症との関連が指摘されています。特に胆嚢がん患者のうち、40~70%が胆石症を発症していると言われています。これは胆石による慢性的な炎症や、胆汁成分の変化ががんの発症に関わっていると考えられます。また、胆管に先天的な奇形があり、膵液が胆嚢に逆流することでがん化するともいわれています。

胆嚢がんの大分類と治療の種類について

胆嚢がんは、進行度に応じて、限局性(がん細胞が胆嚢や胆管に留まっている)と切除不能の進行性(がん細胞が総胆管に沿って肝臓や十二指腸などにまで広がっている場合)の2種類に分類されます。そして、胆嚢がんの治療には手術療法、放射線療法、化学療法の3つのアプローチがあります。どの方法を選択するかは、がん細胞が周囲にどのくらい広がっているかによって決まります。

がんを根治させるためには、手術でがん細胞を完全に摘出するしかありませんが、手術が有効なのは限局性の場合のみです。

切除不能の進行性の胆嚢がんの場合、手術で摘出するのが非常に困難なため、高エネルギーX線治療装置を利用した放射線療法を行ったり、細胞毒性を持った抗がん剤を全身投与したり、肝臓周辺の動脈に注入する局所化学療法を行ったりします。

また、黄疸の応急処置として、ステント留置や胆汁排泄を促す経皮的ドレナージ留置などの外科的処置も併用されることがあります。

胆嚢がんの手術治療

胆嚢がんの根本的な治療は手術です。
がんが広がっている範囲が胆嚢のみの場合には、胆嚢のみを摘出する手術が行われます。胆嚢滝出術は腹腔鏡手術で行われるケースが多いですが、がんの場合にはより慎重に摘出する必要があるため、基本的には開腹手術によって行います。

一方、がんが周辺の臓器やリンパ節に浸潤・転移している場合にはその部位も合わせて鉄所する「拡大胆嚢摘出術」が行われます。肝臓の血管などに浸潤している場合には、肝臓の大部分を切除しなければならないケースも少なくありません。また、肝臓の切除範囲が大きい場合には術後に肝不全を生じる可能性がありるため、術前に原因血管の塞栓を行って切除範囲をできるだけ少なくある場合もあります。

どの範囲を切除するかによって、手術の難易度やそれに伴う合併症、術後の後遺症なども異なります。このため、術式を決めるには術前に種々の画像検査を行い、がんの広がりや転移の有無などを正確に評価する必要があります。

胆嚢がんの早期発見が難しい理由とは?

胆嚢がんは、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。また、解剖学的にみると胆嚢は肝臓の背後に隠れているため、各種の画像検査によって異変を発見することも容易ではありません。

たとえ自覚症状があったとしても、他の疾患にも共通してみられる症状のため、胆嚢がんの可能性に気づくのは難しいことも多く、すでにがんの病巣が広がっていることも珍しくありません。

とりわけ注意が必要な自覚症状は黄疸です。がんが進行して総胆管が閉塞すると黄疸がみられます。これは肝臓で生成されたビリルビンが排出されないことが原因で、血中のビリルビン濃度が高くなった結果、皮膚が黄色くなったり、全身の皮膚がかゆくなったりする症状があらわれます。
さらに、がん細胞が周囲の神経に浸潤すると、みぞおち周辺に痛みが出たり、発熱、悪心嘔吐、腹部腫瘤探知などの自覚症状が出現するようになります。

根治のためには早期発見が重要になりますが、今まで説明してきたように胆嚢がんは兆候に気づくことが難しい病気です。
少しでも気になる症状がある場合は、念のため病院で診てもらうことを習慣化し、定期健診も怠らないようにしましょう。

おわりに:胆嚢がんの治療は、細胞の広がり具合によって異なる

胆嚢がんの治療法として、手術療法、放射線療法、化学療法の3種類があります。がん細胞が胆嚢や胆管に留まっている場合は手術が行われますが、肝臓などの周辺の臓器にまで広がっている場合には放射線療法や化学療法が行われます。

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