記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/10/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
グルタミン酸は、うまみ成分として調味料で使われていますが、体内でも重要な役割を担っていることをご存知でしょうか?グルタミン酸は、食事を楽しみながら毎日を元気に過ごすために役立つ成分であり、不足すると日常生活に支障が出る可能性もあるのです。
今回は、グルタミン酸に期待できる効果と、不足したときに起こる不具合について解説します。
グルタミン酸は、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のひとつです。リラックス成分であるGABAは、グルタミン酸から生成されます。グルタミン酸は私たちの体内でも作ることができるアミノ酸であり、体内に約2%の割合で含まれています。似た名前のアミノ酸に「グルタミン」がありますが、グルタミンとグルタミン酸は別の種類のアミノ酸です。
グルタミン酸は代表的な「うまみ成分」のひとつです。昆布や野菜、きのこ、チーズ、納豆、味噌やしょう油などの食べものや調味料に豊富に含まれています。
ちなみに、赤ちゃんが母乳を好んで飲むのも、母乳にグルタミン酸が多く含まれていることが関係しているといわれています。
うまみが強ければ、その食べものを好んで食べるようになり、体に必要な栄養素も摂りやすくなります。グルタミン酸のようなうまみ成分は、単品で摂るよりも「ほかのうまみ成分と一緒に摂る」ことで、うまみを強く感じやすくなります。
たとえば、アミノ酸グループのうまみ成分であるグルタミン酸と、核酸グループのうまみ成分であるイノシン酸やグアニル酸を一緒に摂れるように調理すると、よりうまみが強くなり、減塩しても美味しく満足度が高い料理に仕上がります。
また、グルタミン酸など、うまみ成分を豊富に含む食材には、ビタミン類や食物繊維など、不足しやすい栄養が豊富な食材が多いです。塩分やカロリーに気をつける必要はありますが、うまく食事に取り入れることで、より健康的な食事に近づけることができます。
グルタミン酸は「うまみ成分」としてだけでなく、私たちの身体活動と健康に役立つ効果が期待できます。
グルタミン酸の代表的な効果のひとつが「アンモニアの無毒化」です。アンモニアには、エネルギー産生を低下させたり、脳の機能を妨げたりする作用があります。
グルタミン酸は体内のアンモニアを取り込み、グルタミンと合成することで、アンモニアを無毒化します。無毒化されたアンモニアは尿として排出されるため、排尿を促す利尿効果も期待できます。
グルタミン酸は、脳を活性化させる神経伝達物質「興奮性伝達物質」のひとつでもあります。グルタミン酸は中枢神経に作用する興奮性伝達物質であり、集中力や記憶力、学習能力に関係していると考えられていて、認知機能の低下を防ぐ効果も期待されています。
また、リラックスやストレス緩和、睡眠の質の向上などに役立つGABAは、グルタミン酸が材料になります。ただし、グルタミン酸が脳内に増えすぎるとリラックスしにくくなり、睡眠などに影響が出る場合があるので過剰摂取には注意しましょう。GABAの生成にはビタミンB6が必要になるので、あわせて摂るように心がけてください。
グルタミン酸は、肌の角質層の保湿成分として働くと考えられていて、肌の保湿効果を高めるなどの効果が期待されています。まだ明らかになっていない部分もありますが、いくつかの企業がスキンケアや化粧品に利用しようと、グルタミン酸に関する研究を進めています。
グルタミン酸が不足すると、以下に挙げるような悪影響が出る可能性があります。
グルタミン酸はアミノ酸のひとつであり、代表的なうまみ成分です。うまく料理に取り入れることで調味料の量を減らせるため、減塩に役立ちます。また、グルタミン酸には、アンモニアの無毒化や脳の働きを助ける効果があり、肌の保湿にも役立つと考えられています。
グルタミン酸が不足すると、疲れやすくなったり、集中力が低下したりして、仕事や学校、日常生活に支障が出ることがあります。美味しい食事は人生の幸福度を高めることにも役立ちますので、昆布や乾燥キノコ、野菜類をうまく料理に取り入れて、元気で活発に活動できるようにしましょう。