記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/9 記事改定日: 2018/10/29
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
インフルエンザになると、ひどい頭痛や高熱で悩まされるものですが、緩和させるためにロキソニン®を服用しても大丈夫でしょうか?
今回は子供のインフルエンザに対してロキソニン®を使ったときのリスクなど、ロキソニン®について詳しく解説していきます。
ロキソニン®とは、ロキソプロフェンを主成分とした薬のことで、腫れや痛みを取り、熱を下げる作用のある「解熱鎮痛消炎剤」の一種です。具体的には、以下のような症状に対して用いられることの多い薬です。
ロキソニン®は、頭痛、生理痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉通、腰痛、関節痛、神経痛、筋肉痛、耳痛、打撲痛、骨折痛、捻挫痛、外傷の痛み、肩こりによる痛みの緩和、悪寒・発熱時の解熱などの効果があります。
ロキソニン®は解熱鎮痛消炎剤のなかでも「NSAIDs」という非ステロイド性の抗炎症薬に分類され、医師から処方してもらえる以外にも市販薬としても販売されています。比較的手に入りやすく、かつ服用から効きはじめまでが15〜60分までと早いため、さまざまな痛みに効果的な薬として、幅広く使用されているのが特徴です。
眠くなる成分は含まれていませんが、空腹時に飲んだり、服用の回数や空けるべき時間などの用法・用量を守らなければ、胃が荒れるなどの副作用が出ることがあります。
インフルエンザによる高熱や頭痛、関節・筋肉の痛みにもロキソニン®は効果的です。ただし、ロキソニン®が15歳未満の子供の服用が禁止されていること、未成年はインフルエンザによる合併症を起こしやすいことから、使用は20歳以上の成人に限定されています。
実際に、成人に対してインフルエンザ治療薬の一種として、解熱鎮痛剤であるロキソニン®が処方されることも少なくありません。高熱や身体の痛みのために眠れなくなったり、食事を摂れなくなると、身体が衰弱して重症化する可能性もあるからです。
成人のインフルエンザ患者が、きちんと医師に相談したうえで安静に利用するのであれば、ロキソニン®の服用も有効なインフルエンザ治療となり得るのです。
ただし、自己判断で市販の風邪薬などと飲み合わせると思わぬ副作用を発症するリスクもあるので、必ず医師に相談してから許可をもらい、購入・服用するようにしてください。
ロキソニン®は広く使用されている鎮痛解熱薬であり、病院で処方してもらう以外にも薬剤師のいるドラッグストアなどで自分で購入することもできます。
効果が強いため、体に痛みがある時や急な発熱があるときには強い味方になってくれる薬です。
しかし、ロキソニン®はNSAIDsと呼ばれる非ステロイド系解熱鎮痛剤であり、インフルエンザにかかった時に服用すると、インフルエンザ脳症を誘発することがわかっています。インフルエンザ脳症は致死率が30%の非常に恐ろしい合併症です。また、死に至らない場合でも神経障害などの後遺症をのこすことも少なくありません。
インフルエンザ脳症を防ぐためにも、インフルエンザのときにはロキソニン®を服用しないように注意しましょう。
インフルエンザと診断される前に、子供にロキソニン®を飲ませてしまった、子供が勝手に飲んでしまった、という場合には必ず医師に相談するようにしましょう。
飲んでしまったロキソニンは素早く体内に吸収されるため、気づいた段階ではどうすることもできません。しかし、その後は絶対に飲まないように注意して下さい。
また、子供の様子をよく観察して、ぐったりして元気がなくなった、嘔吐が頻回にある・痙攣などの症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診してください。
ロキソニン®は、熱や痛みなど症状を取るための対症療法薬であるため、これだけを服用しても、インフルエンザの根本治療にはなりません。このため、インフルエンザ治療にロキソニン®を使う場合は、タミフル®やリレンザ®などの抗インフルエンザ薬との併用が推奨されています。
病院の方針や個人の症状によって、効果的な抗インフルエンザ薬との組み合わせなどは変わってきます。必ず病院で診断を受け、症状にあわせた適切な組み合わせでロキソニン®と抗インフルエンザ薬を一緒に処方してもらってください。
解熱鎮痛消炎剤には、大きくロキソニン®を含むNSAIDs系のものと、アセトアミノフェン製剤であるカロナール®などが含まれるNSAIDs以外の2種類に分類されます。
カロナール®もロキソニン®も、痛みと熱を取るという基本作用や、副作用が消化器官に出やすい点などは共通ですが、以下のような相違点もあります。
先に述べたように、ロキソニン®はインフルエンザの合併症であるインフルエンザ脳症・脳炎の発症リスクの観点から、15歳未満の子供の服用が禁止されている禁忌薬です。しかしカロナール®はインフルエンザ脳症の発症リスクが低く、安全性が高いとされることから、子供や妊婦がインフルエンザに感染した場合の解熱鎮痛として推奨されています。
ロキソニン®は、インフルエンザによる辛い痛みや高熱を取ってくれるため、抗インフルエンザ薬と併用でインフルエンザ治療に使われています。しかし、10代以下の未成年が使用するとインフルエンザ脳症・脳炎などの発症リスクがあるといわれているため、使用して良いのは20歳以上の成人のみです。インフルエンザでロキソニン®を飲むときは、成人も必ず医師に飲み合わせを相談してから許可を受け、服用するようにしましょう。
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