記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/1 記事改定日: 2018/10/29
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高熱や頭痛、咳などが出るインフルエンザですが、インフルエンザの発症以来、激しい咳が長く続いている場合は肺炎を合併している可能性があります。今回の記事では、そんな肺炎の特徴的な症状や、肺炎の合併症を防ぐ方法などについて解説します。
インフルエンザに感染すると、1〜3日間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が出てきます。一般的な初期症状では、突然の激しい悪寒、全身の倦怠感、関節・筋肉の痛み、食欲不振など全身への症状とともに、38〜40℃前後の高熱が出るのが特徴です。
また、この初期症状の後、発症から4日以降くらいからは鼻水、鼻づまり、咳やのどの痛みなどの呼吸器系や、腹痛や下痢、吐き気などの呼吸器系の症状も出てくるケースがあります。
体力のある成人であれば、インフルエンザによるこれらの症状は1週間程度でおさまり回復しますが、重症化すると重篤な合併症を発症する可能性もあるので、注意が必要です。
インフルエンザが重症化した際に考えられる合併症には、以下のようなものがあります。
上記のうち、特に二次性細菌性肺炎は症状が普通の風邪やインフルエンザに似ているため、感染・発症に気づけずに治療が遅れることも少なくありません。
肺炎は高齢者の死因第3位であり、重症化すると死亡することもある病気です。以下に、肺炎の特徴的な症状をご紹介しますので、風邪やインフルエンザによる症状との見分けに役立ててください。
咳は、ウイルスや細菌を体外に排出しようとする、自然な防御反応です。咳から何の病気を発症しているかを診断するのは医師でも難しいと言われ、咳の原因によって適切な治療法や、服用すべき治療薬も変わってきます。このため、安易に市販の咳止め薬を使って症状を抑えるのは、非常に危険な行為と言えます。
医師に正しい診断を下してもらい、適切な薬の処方や治療を受けることが咳を止めるための一番の近道になりますので、できるだけ早く病院に行って医師に診てもらいましょう。
インフルエンザの合併症である二次性細菌性肺炎の発症を防ぐには、まず原因となるインフルエンザ自体を正しく治療し、早期回復を目指すことが重要です。
インフルエンザ治療に使用されるタミフル®・リレンザ®・イナビル®などの抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内の服用開始によって、効果が増すと言われています。また、医師の指示に従い、5日以上の長期間にわたって継続的に飲み続けることで本来の効果を発揮するので、必ず用法・用量を守って飲み切る必要があります。
インフルエンザの感染・発症を疑う症状が出た場合はできるだけ早く病院に行き、医師の指示に従って抗インフルエンザ薬を正しく服用して、休息をとってください。通常、インフルエンザによる発熱は発症してから3日程度で収まるので、4日以上経過しても熱も咳もおさまらないようなら、肺炎の発症を疑った方が良いでしょう。二次性細菌性肺炎を併発している兆候が少しでも見られたら、すぐに医師に相談し、診断と治療を受けてください。
インフルエンザは悪化するとウイルスが気管や肺に至って肺炎を引き起こしたり、免疫力が低下することで別の細菌やウイルスに感染して肺炎を生じることがあります。
肺炎になると、呼吸苦や高熱などの辛い症状が現れるため、患者さん本人は非常につらい思いをします。しかし、肺炎に伴う呼吸器症状の悪化によって咳や痰が多く出るようになると、そこにウイルスが含まれるため、周囲の人へ感染を広げやすくなります。
感染拡大を予防するには、患者さん本人もマスクを着用し、手洗い・手指消毒を行う、なるべく家族などと離れた部屋で休み、家族と接するときは家族もマスクを着用する、室内の湿度を適度に保つ、こまめに換気を行うなどの対策を行いましょう。
高熱や咳はインフルエンザそのものの症状でもありますが、発症してから4日以降は回復し、症状が治まっていくのが通常です。4日以上経過しても咳や熱の症状が良くならず、むしろ悪化している場合は、気づかないうちに二次性細菌性肺炎という合併症を起こしている可能性があります。疑わしい症状を見つけたら、重篤化する前にすぐに医師に相談し、適切な診断と治療を受けてくださいね。
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