記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
ステロイドはアトピー性皮膚炎に有効な外用薬として、処方されることの多い薬です。しかし一方で、副作用や効果についてはネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。
今回は、アトピー性皮膚炎の治療薬として使われるステロイド外用薬について、使用上の注意点や正しい使用方法などを解説していきます。
ステロイド外用薬の代表的な副作用としては、以下2つの症状が挙げられます。
このため、ステロイド外用薬の副作用として、塗布した皮膚ににきびやヘルペス、カンジタなどの感染症が起こることがあります。ステロイド外用薬には上記2つ以外にも副作用が報告されていますが、発生頻度が低く症状も軽度で済む場合が多いとされ、特に危険視はされていません。
ここからは、世間でステロイドの副作用についてささやかれている3つの疑問に対し、噂の正否を解説していきます。参考にしてください。
ステロイドは湿疹や皮膚炎などの症状を抑えるための薬であり、根本治療をする薬ではないため、治療が完全に終わる前に使用をやめるとすぐに症状がぶり返すことがあります。
特にアトピー性皮膚炎など慢性的な皮膚疾患の場合、症状を抑えるために長期的に継続しての使用を余儀なくされるケースも少なくないでしょう。
しかし、これはあくまで長期的な治療を目的にしたものであり、ステロイド外用薬への依存によるものではないため、副作用として依存症になるというわけではありません。
たしかに、ステロイドを内服や注射・点滴などで多量に摂取すると、皮膚や骨の生成にまで影響が及ぶ可能性はあります。
しかし、外用薬は塗布量がわずかであること、また皮膚に局所的に作用するよう調整されているため、用法・用量を守って使用する限り骨など全身に影響が出るとは考えにくいです。
アトピー性皮膚炎などによる皮膚の炎症がひどい場合、ステロイド外用薬で治療する過程で皮膚の黒ずみがはっきりし、カサカサに変質することがあります。
しかしこれは日焼けをすると赤くなったあとに皮が剥けて黒くなるのと同じで、炎症の回復過程で起こるものであり、副作用ではありません。
副作用を理解できたら、次は副作用を起こさないようにステロイド外用薬を使用するための注意点について、解説していきます。
アトピー性皮膚炎の治療でステロイド外用薬を塗るときには、以下の4つの項目を必ず守って使用してください。
ステロイド外用薬を塗るときは、FTU(フィンガーチップユニット)を目安に量を測り、医師に指示された用法・用量で塗布するのが正しい塗り方です。
FTUとは、チューブタイプの薬剤を大人の人差し指の先から第一関節までの量を1単位(約0.5g)として、ステロイド外用薬を塗るときの量を図る方法です。ステロイド外用薬の状態にあわせて、1FTUとなる量は異なりますが、だいたい1FTUあたりで大人の手の平2枚分の面積の塗布が可能とされています。
以下に、ステロイド外用薬の状態ごとの1FTUの目安をまとめていますので、医師の指示に従いステロイド外用薬の量を測るときの参考にしてください。
また、薬を塗る人の年齢や体重によっても、FTUや1回に塗る量の目安は大きく異なりますので、必ず都度医師に確認してから塗るようにしてください。
ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎に有効な薬であるため、皮膚科の医師から処方されることも多い薬です。ステロイド外用薬に対して危険なイメージを持つ人もいますが、医師から指示された用法・用量を守る限り、危険で重篤な副作用が起こる可能性は極めて低いといえます。ステロイド外用薬を正しく安全に使用するために、効果と副作用について正しく理解し、医師の指示を守って塗布してください。
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